今春(と赤外シーズン)の私のフィルムについて

私の赤外線用の標準フィルムはRollei Superpan 200(Retro400SやRollei Infrared 400Sと同フィルム)です。
このフィルムの感度はISO100/21°で、赤外フィルター補正のために3ストップと4ストップを加算しています。そのため、有効感度はそれぞれISO ISO 12/12°とISO 6/9°となります。SPUR Silversalt現像液で現像しようと思う。

私はSPUR UFGシステムも、赤フィルターまたは赤外フィルターと共に使用しています。
このフィルムはISO80/20°(120サイズ)で露光し、もちろんフィルター補正を加えます。UFGは目を見張るような細かい粒子があり、結果がとても楽しみです。

春の撮影に実験的に追加した特別なフィルム:
スーパーパン200は、アンチハレーション層を除去することでハロー効果を出しました。
そしてRollei Ortho 25(プラスではない方)。このフィルムはアグファ製で、私が今まで使った中で最高のオルソクロマティックフィルムです。悲しいことにもう入手できませんが。特にSPUR Acurol N現像液と組み合わせると、非常にシャープで粒子の細かい結果が得られます。
また、私は30m巻きの未穿孔35mmフィルムを持っています。パーフォレーションが欠けているため35mmカメラでは使えないので、120フィルムペーパーに巻き、120カメラでパノラマフィルムとして露光する予定です。パーフォレーションがないことで、イメージへのスペースをより得られるのは嬉しい。

領域別現像剤枯渇

最近、フィルムの面積に応じて生じる「現像液の枯渇」現象について、良い事例がありました。

500mlのペーパー現像作業溶液が入っているボトルがあります。数週間前に使い、後で使うために保管しておいたものです。
さて、私は24x30cmのペーパーにプリントを作りたいので、24x30cmのトレイを使い、この古い作業溶液を入れました。
しかし、24x30cmのトレイに500mlは、量がとても少ないです。最低でも1000mlの作業溶液が必要です。またトレイは用紙サイズより一回り大きいものを使うことが推奨されています。
ですから、24x30cmのペーパーには30x40cmのトレイを使用し、作業溶液は2000mlとするのが正解でした。
(しかし、正しく攪拌すればジャストサイズ(24x30cm)のトレイでも問題ありません。正しく攪拌するとは、トレイの角を交互に持ち上げて、トレイの中を強く攪拌することです)

この少ない作業溶液量で小さなペーパーストリップでテストプリントをしたところ、問題なさそうだったので、24x30cmのフルサイズペーパーを使ってプリントしました。
すると現像後、小さなテストプリントと大きなストレートプリントではまったく異なる濃度を示したのです。
露光も現像液も同じでした。小さなぺーぺーストリップの時と同じ現像時間で行った時、大きなペーパーの濃度は低くなりました。現像時間を長くしてみることで、少し濃度は高まりましたが、同じ濃度まで達することはできなかった。

このプロセスをさらに2回繰り返したところ、結果はまったく同じでした。現像液は、小さなペーパーを現像するには十分な強さを持っていましたが、大きなペーパーの表面積が大きすぎるため、現像液がペーパーを完全に現像することができなかったのです。

この現象は「領域別現像剤枯渇(area-specific developer depletion)」と呼ばれます。作業溶液の量が少なすぎたり、希釈率が高すぎたりすると起こります。私の場合、作業溶液の量が大判ペーパーに対して少なすぎました。

もちろん、これはフィルムでも起こりうることです。フィルムが大きければ大きいほど、その可能性は高くなります。フィルム現像の場合、希釈率が高すぎると補正効果と勘違いされることがあります。希釈率が高すぎるため、単に現像不足のフィルム(特にハイライト部、それゆえ「補正効果」)になってしまう。ロディナルでよくある間違いです。

下の写真では、大きなプリントの上に小さなテストストリップを載せています(テストストリップ上の白い部分は、ペーパー押さえのために使用した磁石によるものです)。テストストリップは、大きなプリント上の左側にあります。

Adox CHS 100 II 4×5 と SPUR Silversalt 現像液

やっと Adox CHS 100 II 4×5SPUR Silversalt 現像液をテストする時間ができました。
通常、私はシートフィルムを35mmフィルムの半分の感度で評価します。そこでISO 50/18°でテストを始めました。ISO40/17°でもテストしましたが、シャドウディテールは改善されませんでした。

最近の現像液のほとんどは、回転現像を行うのにまったく問題がないです。非常に安定した均一な結果が得られるので、フィルムを現像するのに良い方法です。

しかし、Adotech、Nanotech、Dokuspeed といった特殊な現像液の場合、回転現像はお勧めしません。

私は、4×5フィルム用には JOBO 2520タンクリール2509n を使用し、 JOBO SilverBase プロセッサーで回転現像を行っています。

JOBO SilverBase以外で他の回転現像プロセッサーとしては、ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3010(4×5のみ)、あるいは ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3006(4×5と5×7)になるでしょう。

通常コントラスト現像(N現像)には、以下のデータを使用:
露出:ISO 50/18°
希釈:1+30
温度:20℃
時間:11分
回転数:70RPM

得られた濃度グラフは以下の通りです。

ゾーン7から始まる低いハイライトコントラストは、このフィルムでは普通です。ビルトインされた補正効果のようなものです。シャドーも同じく、少し弱い。

テストは富士フイルムの最新レンズで行われました。

SPUR UFG

航空写真用のフィルム(Agfa Aviphot 200/Rollei Retro 80S)を古典的なモノクロ写真に使うことに意味はあるのでしょうか?

このフィルムには、非常に細かい粒状性、高解像度、良好なフィルムスピードという有望な特徴があります。

ミドルトーンのコントラストはやや強く、シャドウとハイライトのコントラストは弱い。この特性は濃度グラフでS字型に表れます。

一方、このフィルムの欠点は、エッジのシャープネスが高くないことと、細やかなグレートーンに欠けることです。

SPURのヘリバート・シェイン氏は、このシャープネスとグレーバリューの問題を化学的方法で解決できると確信していました。

もちろんフィルムの長所は維持したままでなければなりません。

そして数ヶ月後、多くのテスト(私も参加)を経て、彼はこのフィルムの新しい現像方法を発見しました。

現像のダイナミックの詳細については、社の秘密でありますから、もちろん公開されていませんが、ヘリバートは、この現像剤が最も難しい挑戦だったと私に言いました。私は現在のUFG-1現像液の前身をいくつか受け取り、SPURが克服しなければならなかった困難を証明することができました。

その結果がSPURのUFG-1(ウルトラファイングレイン)現像液です。2部構成となっています。
フィルムはいわゆるエバーハルト効果を示すようになりました。暗い部分と明るい部分のエッジコントラストが上がるため、画像がシャープに見えます。

35mmフィルムはISO 50/18°からISO 200/24°まで露光可能です。最も推奨されるのはISO 80/20°とISO 100/21°。120フィルムは35mmフィルムより1DIN低くなります。

「通常の」フィルムと比較した場合、シャドウとハイライトは低コントラストなため、あまり良好ではありません。しかし、ミドルトーン(ゾーン4~6)では素晴らしいハイコントラストとなります。
ゾーンシステムを使って露光する場合、露出オーバーを避けるためにゾーン3ではなくゾーン5、あるいはゾーン6を測定することをお勧めします。このフィルムは露出オーバーを嫌います。

粒子が非常に細かいため、このフィルムはボケに最適で、やわらかなシャープネスを乱す粒子がありません。

ポートレイトでは肌の色調に素晴らしいハイコントラストを持ち、とてもヴィヴィッドに見えます。空はソフトな印象で、粒子が細かさにより歪みなく再現されます。

このフィルムは赤外域までの感光性があるため(スーパーパンクロマチック)、植物の薄緑色がパンクロマチックフィルムに比べて明るく見えます。
晴れた日に赤色フィルターを使い、明るい緑の葉を撮影すると面白い効果が得られます。ややシャープでない赤外画像が、可視光スペクトルのシャープな画像に重なることがあります。粒子は少し大きくなったように見えます。実験してみると面白い効果です。

欠点を認識し、このフィルムと現像ソフトの組み合わせの長所を活用することを理解していれば、このフィルムには大きな可能性が秘められています。粒子が細かくシャープネスが高いため、通常より大きなプリント(特に120ネガ〜)を作ることができます。

SPUR UFGを試してみることを強くお勧めします。

【Foma Ortho 400 120xSPUR Silversalt現像液】

Foma Ortho 400 120フィルムSPUR Silversalt現像液で現像するにあたり、ストウファ グレーウェッジを120フィルムの上に置いてテスト露光をしました。この方法でネガサイズ6×6で露光を12回行うことができました。非常に時間のかかる手順です。

私の希望はフィルム実効感度 ISO 200/24°くらいでした。
そこでISO 400/27°で4回、ISO 200/24°で4回、ISO 100/21°で4回露光しました。
現像は、新製品のJOBO SilverBaseを使った回転現像をチョイス。回転現像にすることで現像液を大幅に節約できます。

露光ISO100/21°(黄グラフ)のフィルムから始めたのですが、シャドゥディテールが弱いことに驚きました。このフィルムの実効感度は、おそらくISO50/18°かそれ以下でしょう。濃度グラフは強いS字型を示しています。
ゾーン1にはシャドゥディテールがありません。そこからゾーン6まではコントラストが強く、そこからはコントラストが弱くなっています。
良好なシャドゥディテールを得たい場合、公称感度よりも3ストップ以上露光する必要があります。この場合、ミドルトーンの濃度が高くなりやすいので注意が必要です。
このフィルムはシャドウが弱いことを受け入れ、フィルムの性格に合った被写体を選ぶことをお勧めします。
もちろん、反転攪拌を行う場合、濃度グラフの形が大きく変わる可能性もあります。

ISO200/24°(紫)とISO400/27°(赤)のグラフは、ISO100/21°(黄)グラフと比べるとまったく異なり、S字がさらに強くなっています。
シャドウディテールは非常に弱いです。Zone3では少し濃度が出ています。
Zone 5からZone 6.5まではコントラストが非常に強く、Zone 6.5以降は普通になります。
ISO 200/24°と400/27°はISO 100/21°と比べてハイライト部のコントラストが強いです。

シャドウディテールに関しては、ISO 200/24°(紫)で露光しても400/27°(赤)で露光してもあまり変わりはありません。
ベース&フォグは、すべてのテスト露光でlogD 0.22程度と低いです。

Rollei RPX 100とSPUR Acurol Nの組合せ

昨夏、私のお気入りのフィルムと現像液の組合せは、SPUR Acurol N現像液とRollei RPX 100フィルムでした。

フィルムは、ISO 100/21 °(120)または ISO 125/22 °(135)で露光。
晴れた日に三脚なしで撮影するには、中判でもこの感度で十分なことが多いです。
このフィルムは粒子が比較的細かく、Acurol Nで非常にシャープに写ります。私の好み的には階調が大変美しいです。

SPUR Acurol N は、技術的に最も進んだ3つの現像液のうちの1つです。他の2つは SPUR HRXJOBO Alpha です。
SPUR Silversalt は、Acurol N とHRX の中間。HRXほど粒子が細かくなく、Acurol Nほどシャープではないが、その中間の良い妥協点となります。
またSilversalt は、すべてのフィルムで実効感度に到達しますが、Acurol N や HRX で現像した場合、より多くの光を必要とするフィルムが中にはあります。

SPUR UFGフィルムと粒状性、解像度、シャープネスについて

SPUR UFG(Ultra Fine Grain)フィルムは、ISO 50/18°からISO 125/22°までの可変フィルムスピードで、非常に粒子の細かいフィルムです。

新しいSPUR UFG-1現像液でISO 200/24°までプッシュ可能です。

赤色域まで増感されるため、赤外フィルター(715nm推奨)との併用も可能です。
フィルム素材の最大解像度は、航空写真用の高コントラスト現像液で現像した場合、コントラスト1000 : 1で 287 LP/mm、コントラスト1.6 : 1で 101 LP/mmです。

UFGフィルムは粒子が非常に細かいため、従来の現像液では非常に高いシャープネスを得ることができず、従来の現像液を使用した場合の特性曲線にも不満が残ります。
これは、このフィルムが元々、画像的な目的よりも航空写真測量用に開発されているためです。

このため、SPURはこのフィルム用に特別な現像液を “調整 “し、上記の問題を完全に解消しました。
2コンポーネントで提供される新現像液SPUR UFG1により、極めて微細な粒状性を維持しながら高いシャープネスと解像度を達成し、さらに特性曲線が補正・改善されました。

粒状性、解像度、シャープネスについて

高い解像度を得るためには、細かい粒子が役に立ちます。
(ドキュメント/アーカイブフィルムではない)写真用の細粒子フィルムには粒度分布があります。異なる粒径は階調を得るために必要です。これらのフィルムには標準的な現像液が使えますが、典型的なシャープネスの不鮮明さがあります。粒子が大きいフィルムは、粒子が細かいフィルムよりもシャープに見えることが多いです。細粒子フィルムから高いシャープネスと最高の解像度を得るためには、シャープネス現像液を使用する必要があり、細粒子現像液を使用する必要は決してありません。

Adox CMSも非常に粒子の細かいフィルムです。しかし、CMSはドキュメントフィルムであり単分散乳剤という同じ大きさの非常に細かい結晶粒を持っています。結晶サイズが小さいため、フィルム粒子が細かいのです。そして粒度分布がない(すべての粒子が同じ大きさ)ため、フィルムは高い解像度、シャープネス、コントラストを得ることができます。通常の現像液では、絵画的なコントラストと階調を得ることはできません。
SPUR UFGもまた非常に粒子が細かいフィルムであり、UFG-1現像剤を使用することで高いシャープネスを得ることができます。

結果の最終評価

フィルム感度を上げるほど、シャドーディテールは低下し、ハイライトにおける差別化が進む。

最良の特性曲線はISO 80/20°とISO 100/21°で得られた。

ISO80/20°ではシャドーの描写がわずかに良くなり、ISO100/21°ではハイライトの差別化が図れる。

粒状性はISO 125/22°から少し増加するが、解像力は悪化せず、高コントラストおよびシャドーが露出アンダーのため、さらに向上している。

ハイライトはISO50/18°で非常にソフト(ほとんど差がない)、ISO80/20°でソフト~普通、ISO100/21° と ISO125/22°で普通、ISO160/23°~ISO 200/24°でまだ普通。

ISO 125/22°から、特にISO 200/24°からは、ゾーン6の濃度が低くなり、肌色が暗く再現される。

ISO 125/22°からは、ゾーン6とゾーン8のコントラストが異常に高くなる。
ゾーン6とゾーン8の濃度差は、ISO 125/22°ではlogD 0.60、ISO 200/24°ではlogD 0.70である。
このため、この領域では、クリエイティブな用途に使用できる特異な画像表現が得られる。

ISO 160/23°とISO 200/24°は、これらの感度が絶対に必要な場合、または目的の画像表現のために、多少粗い粒状性を含む結果として得られる特性が明示的に達成される必要がある場合にのみ、使用してください。

【現像データ:Rollei RPX 100 x Adox Atomal 49】

Rollei RPX 100Adox Atomal 49現像液でテストしました。

攪拌 : 常に60/30/3

温度 : 常に20℃

希釈 : 常に1+1

RPX 100 135 を ISO 160/23で露出: 時間:10分  コントラスト: N

RPX 100 135 を ISO 250/25で露出: 時間:12分  コントラスト: N+1

RPX 100 135 を ISO 320/26で露出: 時間:14分  コントラスト: N+2

RPX 100 120 を ISO 125/22で露出: 時間:10分  コントラスト: N

【Tips : 大きな粒子をプリントする】

私が写真を始めた頃、先生は粒子をできるだけ小さく、目立たなくする方法を教えてくれました。
雑誌や本にも、ネガを粒状にしないためのアドバイスがたくさん載っていました。これは1983年のことで、もちろんそれ以来多くのことが変わりました。
今では多くの人がフィルムで撮影したものを好んで見せますし、そこに多少の粒状性が現れていても見せることを恥じたりしません。

以下、必ずしもネガにではなく、プリントに大きな粒状感を出す方法を説明したいと思います。(しかしもちろん、ネガは常にプリントの仕上がりに重要な役割を果たします)。

まず、高感度フィルムを選びます。通常はISO400/27°が良い選択です。
フィルムを露光するときは、いつもより少し多めに露光します。現像液が求めるよりも1~2DIN多いかもしれません。

ISO3200/36°と宣伝されているフィルム(ボックススピード)を使う場合は、ISO800/30°またはISO1000/31°で露光するのがベストです。
これらのフィルムは、一見非常に高い感度に到達するために必要な積極的な現像を補うために、低コントラスト乳剤を使用しています。そうでなければ、ISO 3200/36°のEIでコントラストが一気に上がってしまいます。

もちろん、現像液は粒子の細かいものではなく、粒状性を強調するものを選びます。
Adox RodinalSPUR Speed MajorSPUR SLDあたりが思い浮かびます。

重要なのはフィルムをプッシュしないことです。逆のことをします。コントラストを通常より低く保ちます。
プッシュするとコントラストが上がり、ハイライトがプリントしにくくなります。
ネガのコントラストが高いときは、トーンを保つためにコントラストを低くしてプリントする必要があります。
低コントラストでプリントすると、通常、プリントの粒子が小さくなりますが、この代わりに、作成した低コントラストのネガを高コントラストフィルターでプリントすることで、プリントに大きな粒子を作ることができます。

Delta 3200 @ 1000, SPUR Ultraspeed Vario (生産終了品), Adox MCP (Grade 3.7)

【SPUR Acurol N 現像液について – パート2】

Rodinal の濃度グラフは、ミドルトーンにおいて少したるむ傾向があります。その結果ハイライトが比較的急峻になります。
しかしミドルトーンの低コントラストを現像過多(現像時間を長くする)によって補正しようとすると、ハイライトが急峻になりすぎてしまいます。Rodinal は、標準的な希釈度では補正効果がないことを忘れないでください。

一方でAcurol N にはミドルトーンのたるみがありません。さらにAcurol N はRodinal よりも粒子が小さく、シャープネスが高い傾向があります。

通常、現像液には2種類の現像主薬が配合されています。なかには1種類のものもあります。
一方、SPURの現像液には少なくとも4種類の現像主薬と数種類のアルカリが使用され、Acurol Nには6種の現像主薬が配合されています。
これについて以下に述べます。

まず、現像主薬の種類を増やすことで超加成性*が増し、これにより現像ダイナミクスの増大を得ています。
もちろん現像主薬の違いによって現像結果に与える影響は異なりますから、慎重にバランスをとる必要があります。
また使用される原料が増えれば増えるほど研究開発は難しくなります。

*超加成性:AとB 2種の現像主薬をそれぞれ単独で用いた時の作用の和よりも、AとBを一緒に作用させたときの作用のほうが大きい現象。

これによりSPURの現像液は非常に特殊な機能へのチューニングが可能となっているのですが、この異なる現像主薬による高い活性(超加成性)は、期限切れフィルムにも優れた結果をもたらします(もちろん、フィルム感度は調整する必要があります)。
また現像液がすぐに弱くなりませんから、最小限の作業液で完璧な結果を得ることができます。

次に、SPURは1種類ではなく複数のアルカリを使用することで、溶液の緩衝能を高めています。
また希釈や現像によってpH値をどのように変化させるかをSPURがコントロールできるようなります。

Acurol Nのアルカリは、SPURが意図的に緩衝性を弱めています。
これにより濃度の高いところと低いところのエッジ部分でpH値の下がり方が異なってきます。
その結果、いわゆるエバーハード効果(エッジ効果)が発生し、通常または撹拌を減らした状態でシャープネスが向上します。
回転現像あるいは多攪拌で現像した場合は、エバーハード効果はあまり強くでません。
しかしAcurol Nにはシャープネス向上剤が含まれているため、回転現像でも高いシャープネスが得られます。

これらのことは全て、多かれ少なかれ知られていることです。
実際、SPUR現像剤の現像ダイナミクスは、上記に説明されているよりもっと複雑です。
しかし、もちろん Heribert Schain氏の仕事は最先端のフィルム現像剤を処方することですから、彼が詳細を説明することはないでしょう。

Rodinal は現存する最も古い現像液の1つであり、Adox の尽力により非常に高い品質で今だに提供されています。

Acurol N は同様の機能を持つ、より現代的な現像液です。前回のブログ(パート1)から述べてきたように Acurol Nは、Rodinal の弱点のいくつかを取り除くことに成功しています。

どちらの現像液も、経験豊富な暗室作業者に多くの実験の余地を与えてくれます。

Tim Moog(Silversalt)