An Old Book

この本は1930年代から1960年代のドイツにおける、写真に関する有名な教科書でした。

『新しい写真学校』ハンス・ウィンディッシュ著 おぞましき1943年の第8版です。

カメラの使い方、ライティング、現像およびプリント方法に至るまでをカバーした、非常に包括的な内容となっています。


乳剤が当時から大きく変化しているため、今日ではあまり価値のない古いレシピも多数載っています。たとえば、スーパー補正現像液の Windisch がよい例です。教科書の中で印象的に示されています(左右に区切られた写真右側が当時の標準現像液、左側がWindisch現像液使用の結果。ハイライト部が大幅に補正されていますね)。

理論もたくさん書かれています。が、中にはもちろん時代遅れのものも。

なんにしても、写真の過去を訪れるのは興味深いことです。

🎄最後まで読んでくださったみなさんへ✨メリークリスマス✨🎄

【Update:Rollei Superpan 200 120 x SPUR Silversalt現像液 】

Rollei Superpan 200 120フィルムをISO 100/21°で露出しました。
Silversalt現像液でのデータは以下の通りです。
希釈:1+25
温度:20℃
現像時間:12分
攪拌:30/60/2

下のグラフをご覧ください。Superpan 200は、濃度グラフのミドルトーンに、非常に急こう配な箇所があるのがわかります。
これは、Superpan 200が中間トーンにおいて強いコントラストを示すことを意味します。

写真からわかるように、私が撮影したのは雨の直後で、晴れてはいませんでした。
住宅や建物はほとんどがミドル~明るいトーンで、通常でいえば、ちょっとたいくつな低コントラストの風景です。
ですが、ミドルトーンにおいて強コントラストのこのフィルム乳剤は、風景の低コントラストを均一化してバランスをとってくれています。
これが真っすぐな濃度グラフを描くフィルムですと、このような結果をネガにもたらすことはないでしょう。
もちろん、そのような通常のフィルム(ミドルトーンでノーマルコントラスト)を、より高コントラストでプリントすることでも同じような結果は得られますが、Superpan 200のネガには、既に私が欲しい見栄えとコントラストが得られています。この場合、グレード2~2.5間のコントラストグレードでプリントでき、完璧です。

とはいえ、写真には ”何かを得たら、何かを与える(失う)必要がある” という基本ルールがあります。
このルールを当てはめると、私はミドルトーンに強コントラストを得ましたが、シャドウは弱くなり、ハイライトは低コントラストとなりました。

弱いシャドウについては、(公称感度の)ISO 200/24°ではなく ISO 100/21°で露出することによって、若干回避できました。
これもルール通りです―シャドウディテールは得られましたが、フィルム感度は低くなりました。

【Sample Photos: RPX 400 120 x SPUR Silversalt現像液】

以下は、SPUR Silversalt現像液による、Rollei RPX 400 120のサンプルフォトです。
RPX 400 120は、ISO 320/26°で露出されました。現像データは以下の通りです:
希釈: 1+20
温度: 22°C
現像時間:14分
攪拌: 30/60/1

最初と2番目の写真は、コントラストが非常に強いです。
早朝の太陽の直射日光が、非常に強いハイライトを作っています。
RPX 400は、コントラストが低めのフィルムですので、低コントラスト現像(プル現像)はしませんでした。
フィルム乳剤が私に有利に働いてくれました。

3番目の写真は日射しのない中で撮影されました。
SPUR Silversalt現像液が生み出すディテールコントラスト(細部におけるコントラスト)をここで見ることができます。
シャッターの錆がくっきり、コントラストも良好です。
店の看板、カーテンや壁の汚れも同様です。
本来、RPX 400は極小粒子乳剤ではありませんが、全ての画像に比較的細粒子が認められます。

【Update:SPUR Silversalt現像液xAdox CHS 100 II 】

SPUR Silversalt現像液でのAdox CHS 100 IIのテスト結果です。
☟以下は、このようなグラフに慣れていない方に向け簡単に説明いたします☟
このグラフは、ネガの各グレートーンの「銀濃度」が、どのくらい高いかを示しています。
横軸は、ゾーンを表します。左側はシャドウ、右側はハイライトです。ゾーン5はミディアムグレーを表します。
縦軸は濃度を表します。低い値は、ネガ上でクリアな領域を表します。
青線グラフは標準線です。これは、値を比較するために使用されます。

Adoxは、CHSフィルムの見栄えは1960年代からのままであると主張しています。
グラフの緩やかなS字曲線を見るに、この主張は正しいと言えます。
シャドウは少し弱く(青の標準グラフより濃度が低い)、ミドルトーンのコントラストはわずかに強くなっており(標準グラフよりもグラフの傾きが急)、ハイライトは非常に柔らかくクリーミーです(標準グラフよりも傾きが小さい)。

通常コントラスト(N)の場合、紫グラフのデータをお勧めします。
希釈:1 + 30
温度:24°C
現像時間:14分
攪拌:30/60/1

緑グラフは、より強いコントラスト(N + 1)を表します。
希釈:1 + 20
温度:24°C
現像時間:12分
攪拌:30/60/1

紫グラフのミドルトーンの濃度が高すぎると感じる場合は、黄グラフのデータを使用してください。

非常に明るくソフトなコントラストのネガには、赤グラフのデータを使用できます。
ただし、「通常の」外観のネガが必要な場合、このデータはお勧めしません。

フィルムのシャドウはやや弱いですから、より良いシャドウディテールを求める場合、ISO 80/20°での撮影をお勧めします。

SPUR Silversalt現像液:ベルゲール パンクロ および シネスティル BWxx/Kodak Double X テスト結果

SPUR Silversalt現像液におけるベルゲールパンクロフィルムのテストを開始しました。
…が、よい結果を得ることは難しかったです。
ベルゲールパンクロフィルムは、多くの現像液において、ISO 200/24°だけで露出されたとしてもカブリが高く、コントラストが低いため、フィルムの現像は困難です。Silversalt現像液でも同じ結果となりました。

ということで、
現在のところ、ベルゲール パンクロフィルムのベスト現像液は SPUR HRXです。HRX使用でボックススピード(公称感度)にも達します。
ベルゲールパンクロフィルムには、SPUR HRX現像液の使用を強くおススメします!

そして、もう一つのテスト―シネスティル BWxx/Kodak Double X におけるシルバーソルト現像液とのテストでは、よい結果を得られました。

標準コントラストには以下のデータをおすすめします。

ISO 設定: 250/25°
希釈: 1+30
温度: 20°C
現像時間: 13 分
攪拌: 30/60/2

より高コントラスト (N+1)には、以下の通り。
ISO 設定: 320/26°
希釈: 1+20
温度: 20°C
現像時間: 10 分
攪拌: 30/60/2

【SPUR Silversalt 現像液-フィルムサイズによる比較】

通常、フィルム現像液用のデータシートには、35mmフィルムの現像データが記載されています。
「120フィルムに同じデータを使用できますか?」という質問をよくお受けしますので、今日はこれについて書こうと思います。

Rollei RPX 400フィルムを2本、35mmと120サイズの異なるサイズでそれぞれ撮影しました。
2本のフィルムは同じカメラで露出され、同じレンズが使用されています。
また、1つのタンクで2本一緒に現像し、SPUR SilversaltにおけるRPX 400の標準データを使用しました。
現像データは以下の通り:
希釈:1+20
温度:20℃
時間:14分
攪拌:30/60/1

結果を見ますと、120フィルムは1 DIN(1/3ストップ)長く露出されるべきということが示されています。
ですから撮影はISO 400/27°ではなく、ISO 320/26°で露出する必要があるということになります。
120フィルムがISO 320/26°で露出された場合、下画像中の赤色グラフは少し左に移動し、135フィルムのグラフとほぼ同じ濃度になります。

もちろん、このテストは他のすべてのフィルムには使用できませんが、120フィルムを1または2 DIN長く露出した場合には、135フィルムの場合と同じ現像データを使用できると想定しても大丈夫です。
そして、いつもお伝えしていることですが、あなた自身でテストされることをお勧めします!

【Silversalt 現像液:攪拌リズムによるコントラスト制御】

攪拌リズムの違いによって、効果にどのような違いが出るかテストを行いました。

以下に例を示します。

フィルムはRollei Retro 400S 135、現像液はSPUR Silversaltです。

3つのテスト全てにおいて露出(ISO 100/21°)、希釈(1+30)、現像時間(14分)、温度(20℃)は同条件、攪拌のみを変更して行いました。

攪拌リズムは以下の3通り:

・30/60/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに1回)☜Silversalt現像での標準的攪拌

・30/60/2 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに2回)

・30/30/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は30秒ごとに1回の反転攪拌を時間がくるまで繰り返す)

結果は非常に興味深いものであり、攪拌によってこのフィルムのコントラストがどのようにコントロールできるかを示しています。

図は、攪拌リズムによって色別に示した濃度グラフです。

・赤線(30/60/1):攪拌がSilversalt現像液の標準的な攪拌(30/60/1)で行われた場合、ゾーン6付近からコントラストが弱くなります。

・緑線(30/60/2):攪拌間の時間は同じであるが、反転の回数を変えた場合、濃度はゾーン6付近から強くなります。

・黄線(30/30/1):攪拌間の時間が短い場合(30秒)、シャドウ部から濃度が高くなります。

これにより(30/60/1ではゾーン6からのコントラストが弱いことから)、Silversalt 現像液のデータシートで、特定のフィルムに 30/60/2 の攪拌を推奨しています。

このテストでは、攪拌リズムの違いによってコントラストの制御が行えるということを示しています。

この例で挙げている効果は、必ずしも他のフィルムに転用できるわけではないことに注意してください。お使いになるフィルムでテストを行い、ご自分のスタイルに最適な結果を使用されることをお勧めします。

【Update:Heiland スプリットグレードを使用した コントラスト調整テクニック】

ハイランド社製スプリットグレードを用いて、高コントラストネガを調整するためのテクニックをyoutube動画でご紹介しています。

ハイランド スプリットグレードは、プリントに大変便利なツールです。
時間と印画紙を節約するだけでなく、プリントプロセス全体を通して適切なコントロールが可能になります。

【Report:Adox Polywarmtone IIの外観について】

期待のアドックスの新ペーパー Adox Polywarmtone II の続報です!

これらは、同じネガを使用して現像し、異なるペーパー(Adox Polywarmtone II と Adox MCC 110)でプリントしたものです。
ポリウォームトーンにはウォームトーン現像液(Adox Neutol WA)、MCCにはニュートラル現像液(Adox Neuol NE)を使用しましたが、これら現像液間では、もたらされる結果は小さなものです。違いは現物を直接見比べたときのみわかる程度です。

ということで、現像液による差異は考慮せず単純にペーパーの違いだけでみてみます。
MCCペーパーのは右下半分に、ポリウォームトーンペーパーは左上です。ボーダーラインを下部と上部に2本の赤線でマークしてあります。
どちらのプリントも、プッシュされたネガのストレートプリントです。したがって、シャドウディテールはあまり良くありません。
ペーパーによってイメージの現れ方が大きく異なっているのがわかります。
Adox Polywarmtone II は美しく、豊かな温かみのあるトーンがあります。シャドウに深みがあり、コントラストが弱く見えることはありませんが、紙ベースはもちろんMCCのピュアホワイトより暖色系であるため、コントラストは技術的に低くなります。

あまりにも多く(の情報)が失われるため、印画紙の性質を説明する際、スキャンしたプリントをスクリーンに表示する方法は適していると言えません。
ですが、この結果は一目瞭然という形でおわかりいただけそうですので、リント結果について文章で補う形でレポートさせていただきました。

【予約受付開始:コダックT-maxフィルム用 現像液SHADOWmax がSPURから新発売!】

ドイツ フィルム化学の専門企業SPUR社は、自社名での現像薬品のみならず、AdoxとRolleiのための製品開発・製造を長年にわたり行っています。
これまで、Adox アドテックII、Adox シルバーマックス、Rollei RPX-D、Rollei RHC、 Rollei スーパーグレイン..など、数多くの有名現像液を世に出してきました。

そのSPURから、待望のT-max100および400のための現像液 SPUR SHADOWmax が発売されます!

コダックT-maxフィルムは、色調に関しては他のフィルムほど多くの現像液と調和しません。
T-max 100および400フィルムは、調和する現像液で現像された場合、非常に直線的な濃度グラフとなります。
一部の現像液では、T-maxフィルムネガのハイライトにおける濃度が高くなりすぎて、ハイライトはディテールを示さないものとなります。
このことは、フィルムがプッシュされた場合にも問題になります―現像時間が長くなるため、ネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎます。さらに、プッシュされたフィルムは露出不足であるため、シャドウディテールが弱くなります。

優れたプッシュ現像液が備えるべき条件は、優れたシャドウディテールのために高感度での利用が可能なこと、そしてネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎないよう制御する能力を持つということです。
まさにこの「優れたプッシュ現像液に求められる要件」に忠実に応えてくれるのが、SPURの新現像、SHADOWmaxです!

もちろん、フィルムがプッシュされた場合、品質の低下は常にありますが、SHADOWmaxを使用した場合、他の現像を使用した場合に比べ、損失ははるかに小さなものとなります。
T-max 100 はISO 800/30まで、T-max 400 はISO 1600/33まで露出できます。
この現像液でKodak Tri X も現像できますが、プッシュした場合、T-maxフィルムに比べてコントラストが強くなります。

この新現像液で、テスト撮影を行いました。
フィルムはT-max 400を使用、ISO 1600/33で露出されています。
このような高感度で露出する必要はないのですが、SHADOWmaxがもたらす結果を確認したかったのです。
特にこの家の写真はコントラストが高いですが、写真下部のシャドウ部にはまだディテールがあり、直射日光があたっているハイライト部は明るすぎるものとなっていません、ディテールはまだ示されています(=つまりネガ上でハイライト部濃度が高くなり過ぎていません)。
スキャンのトーンとコントラストは変更していません(スキャンは粒子を強調することにご留意ください)。

当方では、この新現像液の予約受付を開始いたします!
確実に手に入れたい方はどうぞメールにてお知らせください。
現像液はおよそ3-4週間ほどで入荷の予定です。

現像液は2パートに分かれた仕様で、容量は300mlと750mlでのご提供です。価格は以下の通りです。

SPUR SHADOWmax 現像液
Sサイズパック:300ml(A液100ml、B液200ml)価格2,740円(税込)
Lサイズパック:750ml(A液250ml、B液500ml)価格5,200円(税込)

処理能力:Sサイズ(300ml)1パックで、6~25本のT-maxフィルムが現像できます。