Fomapan フィルムについて

本テストでは、以下フォマ主要3フィルムの比較を行いたいと思う。
Fomapan 100200 および 400

これらフィルムはすべて “profi line (フォマパン プロフェッショナル ライン)“であり、私の経験では最も安定した最良の結果が得られるフィルムである。
テストは、フィルムのボックススピード(公称感度)ではなく、実効感度でテストを行う。
Fomapan 100の実効感度はISO 100/21°、Fomapan 200の実効感度もISO 100/21°、Fomapan 400はISO 200/24°である。

Fomapan 100と400は立方晶粒子(cubic grain )フィルム。Fomapan 200はよりモダンな平板状粒子(tabular grain) を持つフィルムである。Fomaではこの平板状粒子の乳剤のことを”hexagonal core”あるいは”shell tabular”粒子と呼んでいる。
通常、平板状粒子フィルムは立方晶粒子よりも定着時間を長く要する。ゆえにFomapan 200の定着時間は長くなる。Fomapan 100と比較して2.3倍長いクリアタイムを私は測定した。
Fomapan 100のフィルム色は、Fomapan 200や400がより緑色であるのに比べ、やや紫色が強い。

現像液には、私はSPUR Silversaltを選んだ。
理由は、フィルムの真の感度(実効感度)を引き出し、非常にシャープネスを実現してくれるからである。
この現像液は、「自然な」カーブの濃度グラフとフィルムの特徴を維持するという意味で、フィルムの濃度グラフを変えることがない。また、粒状性も保たれる。
例えばAdox Atomal 49は補正現像液で、ハイライトをフラットにし、粒子を丸くする。
一方、Adox Rodinalはその逆となる。標準的な希釈では、ハイライト部の曲線はより急峻となる(コントラストをより強める)傾向がある。
私はフィルムの真の特徴を保ちたいので、SPUR Silversaltを使用している。

まず、フィルム解像度のテストを行った。ターゲットのコントラストは1:64(6ストップ)。これは街角でよく見られるコントラストである。
解像度は1:1000の方が高いが、1:64の方が撮影者の日常生活によりリアルである。コントラストが高くなれば解像度も高くなるからである。
結果は以下の通り。
Fomapan 100: 37 lp/mm
Fomapan 200: 37 lp/mm
Fomapan 400: 33 lp/mm

(これらの結果は、解像度テストの他の結果と直接比較することはできないことに留意してください。それらはテストの個々のセットアップに依存しすぎるためです)

この後、カラーテストを行った。それぞれの色がモノクロームでどのように表現されるだろうか。
Fomapan 100は、200や400に比べて赤が際立って濃い。
Fomapan 400は、最も明るい赤と最も暗い緑を持つ。

テストフォトは、濃度グラフから得られたデータで撮影を行った。フィルム感度のゾーン1と現像時間のゾーン8が基準点である。
これは私が推奨するデータだが、もちろん露出や現像時間を変えたり、別の現像液を使ったりすることで、フィルムの印象は大きく変わる。
私の側からは、例えばゾーン5の濃度を3本とも同じにするなど、フィルムのトーンを合わせる努力はしていない。
また、フォマパン400のシーンは他のとは少し異なる。ISO設定の際にミスをしてしまい、すでに撮影シーンをバラしてしまった後にシーンを再び作り直さなければならなかったからだ。

スキャンはもちろん本物のプリントの代わりにはならない。 例えば、粒子はプリントよりもスキャンの方が粗く見える。しかし、フィルムの見た目の第一印象をあなたに与えてくれる。
テストフォト中にあるグレースケールを見て欲しい。これは”Grey Scale #14″と呼ばれている。グレースケールには19のフィールドがある。19番が最も暗い。Fomapan100では、18番と19番ではネガで違いが見られない。
ネガで、テストフォトのグレースケールのフィールドが、隣のより暗いフィールドと明確に区別できたのは、以下の通り。
Fomapan 100:フィールド18まで(19のうち)
Fomapan 200: フィールド19全て(グレースケール全体において明確に区別できた)
Fomapan 400: フィールド19全て (グレースケール全体において明確に区別できた)

これは、たとえスキャン上のフィールドが暗すぎたとしても、露出が十分であったこと (ネガのシャドウディテールが良好である) を示している。

Fomapan 400は硬質な感じがすると思う。濃緑と薄い赤がカラーベースで強いコントラストを生み出している。粒子はかなり目立つ。特に公称感度のISO 400/27°で撮影すると、シャドウディテールが少なく、非常に生々しいフィルムに見える。
ISO 200/24°の実効感度で露光すると、シャドウディテールは良くなるが、粒子はISO 400/27°よりも大きくなる傾向がある。非常に強い表現のためのフィルムだ。

Fomapan 200は、ここで比較した3フィルムの中で最もモダンでオーソドックスな表情を持つ。それはきっと、平板状粒子構造の結果だろう。
ISO 100/21°程度の実効感度で露出したこのフィルムは、フォマパンの中で最も優れた中感度オールラウンドフィルムである。

Fomapan 100は、とてもクラシックなフィーリングを持つ。昔のオルソクロマチックフィルムを彷彿させる濃い赤のせいかもしれない。特別な表情を持つかなりユニークな乳剤だ。
でも、ハイライトには気をつけなければならない。簡単に白飛びしてしまう。ポートレートやヴィンテージ風の写真を撮りたい人にはいいフィルムだと思う。

フォマパンは攪拌が足りないとムラが出やすい。現像液や希釈度によっては、わずか1分の攪拌中のレスト時間でも長すぎ、パーフォレーションホールやネガの短辺から現像ムラが発生することがある。

【フィルターがSPUR UFGフィルムに与える効果の比較】

使用フィルムはSPUR UFG 120(6×7)。
フィルムはISO 80/20°で露光、SPUR UFG-1現像液を使用し、データシートに従い現像を行った。
撮影日は晴れだったものの少し曇がでていた。空は青くなく霞んでいた。葉はほとんど春の新緑で薄緑だった。
画像はすべてネガからのスキャンで、修正は行われていない。

最初の写真:フィルターなし。
グリーンのトーンが心地よく分離しているのがわかる。手前の木は直射日光を受け、葉はかなり明るい。

2枚目:ライトグリーン(グリーン/イエロー)フィルター使用。フィルターファクター2。
ライトグリーンの葉が明るくなり、暗いグリーンと明るいグリーンのトーンが強く分かれている。

3枚目:オレンジ色フィルター使用。フィルターファクター2.5。

写実的でなく、夢のような写真になった。赤外線に対するフィルムの感度がはっきりとわかるようになった。非常にシャープなベース画像の上に、明るい画像が重なっているように見える。この効果はスキャンではわかりにくいが、プリントではわかりやすい。これは次の2枚の写真でも同様である。

4枚目:赤色フィルター使用。フィルターファクター4。
赤色フィルターで撮影した写真では、IR効果が強く出ている。それはもう現実的ではなく、幽霊か夢の世界の風景のように見える。フィルターファクターは(この赤色フィルターでは通常の)8ではなく4しか使っていないことに注意してください。

5枚目:IRフィルター(715nm)使用。フィルターファクター8。
ハイライトの濃度が非常に強いので、ネガのスキャニングにはすでに問題がある。この画像をプリントすることは可能だろうが、ハイライト分離を良くするためには、いくつかのトリックが必要だろう。

使用フィルターは以下の通り。
グリーン :マルミ MC-P00
オレンジ :マルミ MC-YA2
赤 : マルミMC-R2
赤外線 :ヘリオパン・インフラロット715

今春(と赤外シーズン)の私のフィルムについて

私の赤外線用の標準フィルムはRollei Superpan 200(Retro400SやRollei Infrared 400Sと同フィルム)です。
このフィルムの感度はISO100/21°で、赤外フィルター補正のために3ストップと4ストップを加算しています。そのため、有効感度はそれぞれISO ISO 12/12°とISO 6/9°となります。SPUR Silversalt現像液で現像しようと思う。

私はSPUR UFGシステムも、赤フィルターまたは赤外フィルターと共に使用しています。
このフィルムはISO80/20°(120サイズ)で露光し、もちろんフィルター補正を加えます。UFGは目を見張るような細かい粒子があり、結果がとても楽しみです。

春の撮影に実験的に追加した特別なフィルム:
スーパーパン200は、アンチハレーション層を除去することでハロー効果を出しました。
そしてRollei Ortho 25(プラスではない方)。このフィルムはアグファ製で、私が今まで使った中で最高のオルソクロマティックフィルムです。悲しいことにもう入手できませんが。特にSPUR Acurol N現像液と組み合わせると、非常にシャープで粒子の細かい結果が得られます。
また、私は30m巻きの未穿孔35mmフィルムを持っています。パーフォレーションが欠けているため35mmカメラでは使えないので、120フィルムペーパーに巻き、120カメラでパノラマフィルムとして露光する予定です。パーフォレーションがないことで、イメージへのスペースをより得られるのは嬉しい。

領域別現像剤枯渇

最近、フィルムの面積に応じて生じる「現像液の枯渇」現象について、良い事例がありました。

500mlのペーパー現像作業溶液が入っているボトルがあります。数週間前に使い、後で使うために保管しておいたものです。
さて、私は24x30cmのペーパーにプリントを作りたいので、24x30cmのトレイを使い、この古い作業溶液を入れました。
しかし、24x30cmのトレイに500mlは、量がとても少ないです。最低でも1000mlの作業溶液が必要です。またトレイは用紙サイズより一回り大きいものを使うことが推奨されています。
ですから、24x30cmのペーパーには30x40cmのトレイを使用し、作業溶液は2000mlとするのが正解でした。
(しかし、正しく攪拌すればジャストサイズ(24x30cm)のトレイでも問題ありません。正しく攪拌するとは、トレイの角を交互に持ち上げて、トレイの中を強く攪拌することです)

この少ない作業溶液量で小さなペーパーストリップでテストプリントをしたところ、問題なさそうだったので、24x30cmのフルサイズペーパーを使ってプリントしました。
すると現像後、小さなテストプリントと大きなストレートプリントではまったく異なる濃度を示したのです。
露光も現像液も同じでした。小さなぺーぺーストリップの時と同じ現像時間で行った時、大きなペーパーの濃度は低くなりました。現像時間を長くしてみることで、少し濃度は高まりましたが、同じ濃度まで達することはできなかった。

このプロセスをさらに2回繰り返したところ、結果はまったく同じでした。現像液は、小さなペーパーを現像するには十分な強さを持っていましたが、大きなペーパーの表面積が大きすぎるため、現像液がペーパーを完全に現像することができなかったのです。

この現象は「領域別現像剤枯渇(area-specific developer depletion)」と呼ばれます。作業溶液の量が少なすぎたり、希釈率が高すぎたりすると起こります。私の場合、作業溶液の量が大判ペーパーに対して少なすぎました。

もちろん、これはフィルムでも起こりうることです。フィルムが大きければ大きいほど、その可能性は高くなります。フィルム現像の場合、希釈率が高すぎると補正効果と勘違いされることがあります。希釈率が高すぎるため、単に現像不足のフィルム(特にハイライト部、それゆえ「補正効果」)になってしまう。ロディナルでよくある間違いです。

下の写真では、大きなプリントの上に小さなテストストリップを載せています(テストストリップ上の白い部分は、ペーパー押さえのために使用した磁石によるものです)。テストストリップは、大きなプリント上の左側にあります。

Adox CHS 100 II 4×5 と SPUR Silversalt 現像液

やっと Adox CHS 100 II 4×5SPUR Silversalt 現像液をテストする時間ができました。
通常、私はシートフィルムを35mmフィルムの半分の感度で評価します。そこでISO 50/18°でテストを始めました。ISO40/17°でもテストしましたが、シャドウディテールは改善されませんでした。

最近の現像液のほとんどは、回転現像を行うのにまったく問題がないです。非常に安定した均一な結果が得られるので、フィルムを現像するのに良い方法です。

しかし、Adotech、Nanotech、Dokuspeed といった特殊な現像液の場合、回転現像はお勧めしません。

私は、4×5フィルム用には JOBO 2520タンクリール2509n を使用し、 JOBO SilverBase プロセッサーで回転現像を行っています。

JOBO SilverBase以外で他の回転現像プロセッサーとしては、ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3010(4×5のみ)、あるいは ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3006(4×5と5×7)になるでしょう。

通常コントラスト現像(N現像)には、以下のデータを使用:
露出:ISO 50/18°
希釈:1+30
温度:20℃
時間:11分
回転数:70RPM

得られた濃度グラフは以下の通りです。

ゾーン7から始まる低いハイライトコントラストは、このフィルムでは普通です。ビルトインされた補正効果のようなものです。シャドーも同じく、少し弱い。

テストは富士フイルムの最新レンズで行われました。

SPUR UFG

航空写真用のフィルム(Agfa Aviphot 200/Rollei Retro 80S)を古典的なモノクロ写真に使うことに意味はあるのでしょうか?

このフィルムには、非常に細かい粒状性、高解像度、良好なフィルムスピードという有望な特徴があります。

ミドルトーンのコントラストはやや強く、シャドウとハイライトのコントラストは弱い。この特性は濃度グラフでS字型に表れます。

一方、このフィルムの欠点は、エッジのシャープネスが高くないことと、細やかなグレートーンに欠けることです。

SPURのヘリバート・シェイン氏は、このシャープネスとグレーバリューの問題を化学的方法で解決できると確信していました。

もちろんフィルムの長所は維持したままでなければなりません。

そして数ヶ月後、多くのテスト(私も参加)を経て、彼はこのフィルムの新しい現像方法を発見しました。

現像のダイナミックの詳細については、社の秘密でありますから、もちろん公開されていませんが、ヘリバートは、この現像剤が最も難しい挑戦だったと私に言いました。私は現在のUFG-1現像液の前身をいくつか受け取り、SPURが克服しなければならなかった困難を証明することができました。

その結果がSPURのUFG-1(ウルトラファイングレイン)現像液です。2部構成となっています。
フィルムはいわゆるエバーハルト効果を示すようになりました。暗い部分と明るい部分のエッジコントラストが上がるため、画像がシャープに見えます。

35mmフィルムはISO 50/18°からISO 200/24°まで露光可能です。最も推奨されるのはISO 80/20°とISO 100/21°。120フィルムは35mmフィルムより1DIN低くなります。

「通常の」フィルムと比較した場合、シャドウとハイライトは低コントラストなため、あまり良好ではありません。しかし、ミドルトーン(ゾーン4~6)では素晴らしいハイコントラストとなります。
ゾーンシステムを使って露光する場合、露出オーバーを避けるためにゾーン3ではなくゾーン5、あるいはゾーン6を測定することをお勧めします。このフィルムは露出オーバーを嫌います。

粒子が非常に細かいため、このフィルムはボケに最適で、やわらかなシャープネスを乱す粒子がありません。

ポートレイトでは肌の色調に素晴らしいハイコントラストを持ち、とてもヴィヴィッドに見えます。空はソフトな印象で、粒子が細かさにより歪みなく再現されます。

このフィルムは赤外域までの感光性があるため(スーパーパンクロマチック)、植物の薄緑色がパンクロマチックフィルムに比べて明るく見えます。
晴れた日に赤色フィルターを使い、明るい緑の葉を撮影すると面白い効果が得られます。ややシャープでない赤外画像が、可視光スペクトルのシャープな画像に重なることがあります。粒子は少し大きくなったように見えます。実験してみると面白い効果です。

欠点を認識し、このフィルムと現像ソフトの組み合わせの長所を活用することを理解していれば、このフィルムには大きな可能性が秘められています。粒子が細かくシャープネスが高いため、通常より大きなプリント(特に120ネガ〜)を作ることができます。

SPUR UFGを試してみることを強くお勧めします。

【Foma Ortho 400 120xSPUR Silversalt現像液】

Foma Ortho 400 120フィルムSPUR Silversalt現像液で現像するにあたり、ストウファ グレーウェッジを120フィルムの上に置いてテスト露光をしました。この方法でネガサイズ6×6で露光を12回行うことができました。非常に時間のかかる手順です。

私の希望はフィルム実効感度 ISO 200/24°くらいでした。
そこでISO 400/27°で4回、ISO 200/24°で4回、ISO 100/21°で4回露光しました。
現像は、新製品のJOBO SilverBaseを使った回転現像をチョイス。回転現像にすることで現像液を大幅に節約できます。

露光ISO100/21°(黄グラフ)のフィルムから始めたのですが、シャドゥディテールが弱いことに驚きました。このフィルムの実効感度は、おそらくISO50/18°かそれ以下でしょう。濃度グラフは強いS字型を示しています。
ゾーン1にはシャドゥディテールがありません。そこからゾーン6まではコントラストが強く、そこからはコントラストが弱くなっています。
良好なシャドゥディテールを得たい場合、公称感度よりも3ストップ以上露光する必要があります。この場合、ミドルトーンの濃度が高くなりやすいので注意が必要です。
このフィルムはシャドウが弱いことを受け入れ、フィルムの性格に合った被写体を選ぶことをお勧めします。
もちろん、反転攪拌を行う場合、濃度グラフの形が大きく変わる可能性もあります。

ISO200/24°(紫)とISO400/27°(赤)のグラフは、ISO100/21°(黄)グラフと比べるとまったく異なり、S字がさらに強くなっています。
シャドウディテールは非常に弱いです。Zone3では少し濃度が出ています。
Zone 5からZone 6.5まではコントラストが非常に強く、Zone 6.5以降は普通になります。
ISO 200/24°と400/27°はISO 100/21°と比べてハイライト部のコントラストが強いです。

シャドウディテールに関しては、ISO 200/24°(紫)で露光しても400/27°(赤)で露光してもあまり変わりはありません。
ベース&フォグは、すべてのテスト露光でlogD 0.22程度と低いです。

SPUR UFGフィルムと粒状性、解像度、シャープネスについて

SPUR UFG(Ultra Fine Grain)フィルムは、ISO 50/18°からISO 125/22°までの可変フィルムスピードで、非常に粒子の細かいフィルムです。

新しいSPUR UFG-1現像液でISO 200/24°までプッシュ可能です。

赤色域まで増感されるため、赤外フィルター(715nm推奨)との併用も可能です。
フィルム素材の最大解像度は、航空写真用の高コントラスト現像液で現像した場合、コントラスト1000 : 1で 287 LP/mm、コントラスト1.6 : 1で 101 LP/mmです。

UFGフィルムは粒子が非常に細かいため、従来の現像液では非常に高いシャープネスを得ることができず、従来の現像液を使用した場合の特性曲線にも不満が残ります。
これは、このフィルムが元々、画像的な目的よりも航空写真測量用に開発されているためです。

このため、SPURはこのフィルム用に特別な現像液を “調整 “し、上記の問題を完全に解消しました。
2コンポーネントで提供される新現像液SPUR UFG1により、極めて微細な粒状性を維持しながら高いシャープネスと解像度を達成し、さらに特性曲線が補正・改善されました。

粒状性、解像度、シャープネスについて

高い解像度を得るためには、細かい粒子が役に立ちます。
(ドキュメント/アーカイブフィルムではない)写真用の細粒子フィルムには粒度分布があります。異なる粒径は階調を得るために必要です。これらのフィルムには標準的な現像液が使えますが、典型的なシャープネスの不鮮明さがあります。粒子が大きいフィルムは、粒子が細かいフィルムよりもシャープに見えることが多いです。細粒子フィルムから高いシャープネスと最高の解像度を得るためには、シャープネス現像液を使用する必要があり、細粒子現像液を使用する必要は決してありません。

Adox CMSも非常に粒子の細かいフィルムです。しかし、CMSはドキュメントフィルムであり単分散乳剤という同じ大きさの非常に細かい結晶粒を持っています。結晶サイズが小さいため、フィルム粒子が細かいのです。そして粒度分布がない(すべての粒子が同じ大きさ)ため、フィルムは高い解像度、シャープネス、コントラストを得ることができます。通常の現像液では、絵画的なコントラストと階調を得ることはできません。
SPUR UFGもまた非常に粒子が細かいフィルムであり、UFG-1現像剤を使用することで高いシャープネスを得ることができます。

結果の最終評価

フィルム感度を上げるほど、シャドーディテールは低下し、ハイライトにおける差別化が進む。

最良の特性曲線はISO 80/20°とISO 100/21°で得られた。

ISO80/20°ではシャドーの描写がわずかに良くなり、ISO100/21°ではハイライトの差別化が図れる。

粒状性はISO 125/22°から少し増加するが、解像力は悪化せず、高コントラストおよびシャドーが露出アンダーのため、さらに向上している。

ハイライトはISO50/18°で非常にソフト(ほとんど差がない)、ISO80/20°でソフト~普通、ISO100/21° と ISO125/22°で普通、ISO160/23°~ISO 200/24°でまだ普通。

ISO 125/22°から、特にISO 200/24°からは、ゾーン6の濃度が低くなり、肌色が暗く再現される。

ISO 125/22°からは、ゾーン6とゾーン8のコントラストが異常に高くなる。
ゾーン6とゾーン8の濃度差は、ISO 125/22°ではlogD 0.60、ISO 200/24°ではlogD 0.70である。
このため、この領域では、クリエイティブな用途に使用できる特異な画像表現が得られる。

ISO 160/23°とISO 200/24°は、これらの感度が絶対に必要な場合、または目的の画像表現のために、多少粗い粒状性を含む結果として得られる特性が明示的に達成される必要がある場合にのみ、使用してください。

【現像データ:Rollei RPX 100 x Adox Atomal 49】

Rollei RPX 100Adox Atomal 49現像液でテストしました。

攪拌 : 常に60/30/3

温度 : 常に20℃

希釈 : 常に1+1

RPX 100 135 を ISO 160/23で露出: 時間:10分  コントラスト: N

RPX 100 135 を ISO 250/25で露出: 時間:12分  コントラスト: N+1

RPX 100 135 を ISO 320/26で露出: 時間:14分  コントラスト: N+2

RPX 100 120 を ISO 125/22で露出: 時間:10分  コントラスト: N

【Push & Pullについて】

「Push(プッシュ)」と「Pull(プル)」は、それぞれコントラストを強めたり弱めたりする(=コントラスト範囲を拡げたり狭めたりする)現像方法です。

何が起こっているのかを理解するために、まずいくつかの基本を理解することが重要です。

フィルム感度は「ゾーン1」で定義されます(そのフィルムの本当の感度はゾーン1で決定されます)。
そして、テストしたフィルム感度に到達するためには、このゾーンの濃度は logD 0.1であるべきです。

もう一つの重要なゾーンは「ゾーン8」です。ここでコントラストが測定されます。
シャドゥ(ゾーン1とその周辺ゾーン)は、露出によってコントロールされます。
ハイライト(ゾーン8とその周辺)は、現像によってコントロールされます。

濃度グラフは、ゾーンごとのフィルムと現像液の組合わせの濃度を示します。
コントラストが強いほどグラフは急峻になります。
コントラストが弱いほどグラフは平坦になります。

そしてすべてのグラフは、中程度コントラストでプリントしやすいネガを表すDIN/ISO標準グラフ(Nグラフ)と比較されます。

グラフを調整したい場合、現像時間を変えることで可能です。
現像時間を長くすると、ハイライト部の濃度が高くなり、グラフが急峻になります―すなわちコントラストが強くなります。
現像時間を短くするとその逆です―ハイライト部の濃度が低くなるため、グラフは平坦になり、結果的にコントラストが弱くなります。

さて、下のグラフは、DIN/ISOグラフ(黒線)とSPUR Silversalt現像液におけるAgfaphoto APX400Newのテストグラフ(赤線)です。両方のグラフがゾーン1の同じポイントで合流しているのがわかります。
これは、このフィルムと現像液の組み合わせでは、ISO 400/27°のテストスピードが正しいことを意味します。また、両方のグラフがゾーン8で再び合流しているのがわかります。これは12.5分という現像時間が、通常のコントラスト現像(N現像)にぴったりだったということです。
黄線は勾配が急でN+現像(高コントラスト)、緑線は勾配が平坦でN-現像(低コントラスト)をそれぞれ表しています。黄線と緑線はあくまで例であり、赤線のようにテストに基づいているわけではありません。

しかし、なぜ私達はコントラストを変えようとまで思うのでしょうか?

通常のコントラストを持つモチーフの場合、ゾーン2からゾーン8までがディテール範囲となります。これは6ストップに相当します。
ではここで、コントラスト範囲が4ストップしかないモチーフがあったとします。つまり全コントラスト範囲に対して2ストップが欠けているということです。

グラフ2をご覧ください。赤いエリアに示されているように、4ストップ分のコントラスト範囲がゾーン5のミドルグレーを中心に設定されているのがおわかりいただけると思います。
黒グラフ(N現像)のコントラスト範囲は、(ゾーン7の濃度からゾーン3濃度を差引いた)1.1-0.35=0.75であることがわかります。
コントラスト範囲が0.85〜1.15に入るネガが、プリントしやすいと言われていますので、この0.75の値は低すぎますね。

この場合は、現像時間を長くして、N+2現像に挑戦したとします。
そしてその結果、グラフは青線で示されたような曲線(N+2)を描きました。

青グラフのコントラスト範囲は、1.60-0.55=1.05です。これは非常に使いやすいコントラスト範囲です。
そして、青グラフのゾーン6は、すでにNグラフのゾーン8の濃度に達している(薄いグレーの水平線)ことから、青グラフがN+2であることがわかります。

しかし、ひとつ問題があります。

それは、N現像からずれた現像でも、ネガのディテール領域の中心は、モチーフのディテール領域の中心と一緒に落ちてくるべきだというもっともな主張です。
これは、露出アンダーにすればよいのです。この場合、1ストップ分。

これでゾーン4を中心にゾーン2からゾーン6までがコントラスト範囲となりました。グラフ3をご覧ください。
現像時間が長いので、N+2グラフのゾーン4は、Nグラフのゾーン5と同じ濃度になります。
コントラスト範囲は、1.3-0.3=1.0となりました。露出補正をしない場合より少し下がりますが、それでも良好です。

なお、フィルムの実効感度は変わっていないことにご注意ください。

プッシュ現像は、モチーフのコントラストが低い場合に有効な手段です。

コントラストが正常な場合にプッシュ現像を行うと、シャドゥやハイライトのディテールが失われます。
また、現像時間が長くなるため、フォグや粒子が増加することがあります。

ここまでプッシュについて述べてきましたが、プル現像の場合は、プッシュの真逆で同じことが言えます。
つまり、プル現像はモチーフのコントラストが高い場合に有効な手段であり、露出オーバーと短時間現像によりコントラスト範囲を狭め、N-現像を行います。