【Tips : 大きな粒子をプリントする】

私が写真を始めた頃、先生は粒子をできるだけ小さく、目立たなくする方法を教えてくれました。
雑誌や本にも、ネガを粒状にしないためのアドバイスがたくさん載っていました。これは1983年のことで、もちろんそれ以来多くのことが変わりました。
今では多くの人がフィルムで撮影したものを好んで見せますし、そこに多少の粒状性が現れていても見せることを恥じたりしません。

以下、必ずしもネガにではなく、プリントに大きな粒状感を出す方法を説明したいと思います。(しかしもちろん、ネガは常にプリントの仕上がりに重要な役割を果たします)。

まず、高感度フィルムを選びます。通常はISO400/27°が良い選択です。
フィルムを露光するときは、いつもより少し多めに露光します。現像液が求めるよりも1~2DIN多いかもしれません。

ISO3200/36°と宣伝されているフィルム(ボックススピード)を使う場合は、ISO800/30°またはISO1000/31°で露光するのがベストです。
これらのフィルムは、一見非常に高い感度に到達するために必要な積極的な現像を補うために、低コントラスト乳剤を使用しています。そうでなければ、ISO 3200/36°のEIでコントラストが一気に上がってしまいます。

もちろん、現像液は粒子の細かいものではなく、粒状性を強調するものを選びます。
Adox RodinalSPUR Speed MajorSPUR SLDあたりが思い浮かびます。

重要なのはフィルムをプッシュしないことです。逆のことをします。コントラストを通常より低く保ちます。
プッシュするとコントラストが上がり、ハイライトがプリントしにくくなります。
ネガのコントラストが高いときは、トーンを保つためにコントラストを低くしてプリントする必要があります。
低コントラストでプリントすると、通常、プリントの粒子が小さくなりますが、この代わりに、作成した低コントラストのネガを高コントラストフィルターでプリントすることで、プリントに大きな粒子を作ることができます。

Delta 3200 @ 1000, SPUR Ultraspeed Vario (生産終了品), Adox MCP (Grade 3.7)

【カラー引伸機のキャリブレーション】

スプリットグレードをお使いでない場合、特定のコントラストを得るために、カラー引伸機のイエローフィルターやマゼンタフィルターをどのように設定すればよいのか、見当をつけるのは難しいと思います。系統立ててプリントするには、テストをするのが一番です。
注*掲載のテストデータは、使用印画紙および私モーグの引伸機に対してのみ有効なものですので、個々人でテストデータの作成を行う必要があります。

1枚目の写真は、すべてのテストプリントを作成するにあたり使用したハイランド濃度計とストゥファのステップウェッジです。
2枚目は、特定のコントラストを得るために、イエローおよびマゼンタフィルターのダイヤルのどの値を設定すべきかを示しています。
3枚目は、露光時間の修正値を示しています。この修正値はコントラストを変更してもゾーン8の濃度が変わらないようにするためのものです。
例えばコントラストをグレード2から3に変更した場合、ゾーン8で同じハイライトを得るためには、露光時間を1/3ストップ(0.3 logD = 1ストップ)長くする必要があります。

この例はカラー用引伸機の場合です。しかし、白黒用の引伸機であっても、このテストを実施することで使用する材料や機器についてより深く知ることができます。