【Update:SPUR Silversalt現像液xAdox CHS 100 II 】

SPUR Silversalt現像液でのAdox CHS 100 IIのテスト結果です。
☟以下は、このようなグラフに慣れていない方に向け簡単に説明いたします☟
このグラフは、ネガの各グレートーンの「銀濃度」が、どのくらい高いかを示しています。
横軸は、ゾーンを表します。左側はシャドウ、右側はハイライトです。ゾーン5はミディアムグレーを表します。
縦軸は濃度を表します。低い値は、ネガ上でクリアな領域を表します。
青線グラフは標準線です。これは、値を比較するために使用されます。

Adoxは、CHSフィルムの見栄えは1960年代からのままであると主張しています。
グラフの緩やかなS字曲線を見るに、この主張は正しいと言えます。
シャドウは少し弱く(青の標準グラフより濃度が低い)、ミドルトーンのコントラストはわずかに強くなっており(標準グラフよりもグラフの傾きが急)、ハイライトは非常に柔らかくクリーミーです(標準グラフよりも傾きが小さい)。

通常コントラスト(N)の場合、紫グラフのデータをお勧めします。
希釈:1 + 30
温度:24°C
現像時間:14分
攪拌:30/60/1

緑グラフは、より強いコントラスト(N + 1)を表します。
希釈:1 + 20
温度:24°C
現像時間:12分
攪拌:30/60/1

紫グラフのミドルトーンの濃度が高すぎると感じる場合は、黄グラフのデータを使用してください。

非常に明るくソフトなコントラストのネガには、赤グラフのデータを使用できます。
ただし、「通常の」外観のネガが必要な場合、このデータはお勧めしません。

フィルムのシャドウはやや弱いですから、より良いシャドウディテールを求める場合、ISO 80/20°での撮影をお勧めします。

SPUR Silversalt現像液:ベルゲール パンクロ および シネスティル BWxx/Kodak Double X テスト結果

SPUR Silversalt現像液におけるベルゲールパンクロフィルムのテストを開始しました。
…が、よい結果を得ることは難しかったです。
ベルゲールパンクロフィルムは、多くの現像液において、ISO 200/24°だけで露出されたとしてもカブリが高く、コントラストが低いため、フィルムの現像は困難です。Silversalt現像液でも同じ結果となりました。

ということで、
現在のところ、ベルゲール パンクロフィルムのベスト現像液は SPUR HRXです。HRX使用でボックススピード(公称感度)にも達します。
ベルゲールパンクロフィルムには、SPUR HRX現像液の使用を強くおススメします!

そして、もう一つのテスト―シネスティル BWxx/Kodak Double X におけるシルバーソルト現像液とのテストでは、よい結果を得られました。

標準コントラストには以下のデータをおすすめします。

ISO 設定: 250/25°
希釈: 1+30
温度: 20°C
現像時間: 13 分
攪拌: 30/60/2

より高コントラスト (N+1)には、以下の通り。
ISO 設定: 320/26°
希釈: 1+20
温度: 20°C
現像時間: 10 分
攪拌: 30/60/2

【SPUR Silversalt 現像液-フィルムサイズによる比較】

通常、フィルム現像液用のデータシートには、35mmフィルムの現像データが記載されています。
「120フィルムに同じデータを使用できますか?」という質問をよくお受けしますので、今日はこれについて書こうと思います。

Rollei RPX 400フィルムを2本、35mmと120サイズの異なるサイズでそれぞれ撮影しました。
2本のフィルムは同じカメラで露出され、同じレンズが使用されています。
また、1つのタンクで2本一緒に現像し、SPUR SilversaltにおけるRPX 400の標準データを使用しました。
現像データは以下の通り:
希釈:1+20
温度:20℃
時間:14分
攪拌:30/60/1

結果を見ますと、120フィルムは1 DIN(1/3ストップ)長く露出されるべきということが示されています。
ですから撮影はISO 400/27°ではなく、ISO 320/26°で露出する必要があるということになります。
120フィルムがISO 320/26°で露出された場合、下画像中の赤色グラフは少し左に移動し、135フィルムのグラフとほぼ同じ濃度になります。

もちろん、このテストは他のすべてのフィルムには使用できませんが、120フィルムを1または2 DIN長く露出した場合には、135フィルムの場合と同じ現像データを使用できると想定しても大丈夫です。
そして、いつもお伝えしていることですが、あなた自身でテストされることをお勧めします!

【Silversalt 現像液:攪拌リズムによるコントラスト制御】

攪拌リズムの違いによって、効果にどのような違いが出るかテストを行いました。

以下に例を示します。

フィルムはRollei Retro 400S 135、現像液はSPUR Silversaltです。

3つのテスト全てにおいて露出(ISO 100/21°)、希釈(1+30)、現像時間(14分)、温度(20℃)は同条件、攪拌のみを変更して行いました。

攪拌リズムは以下の3通り:

・30/60/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに1回)☜Silversalt現像での標準的攪拌

・30/60/2 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに2回)

・30/30/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は30秒ごとに1回の反転攪拌を時間がくるまで繰り返す)

結果は非常に興味深いものであり、攪拌によってこのフィルムのコントラストがどのようにコントロールできるかを示しています。

図は、攪拌リズムによって色別に示した濃度グラフです。

・赤線(30/60/1):攪拌がSilversalt現像液の標準的な攪拌(30/60/1)で行われた場合、ゾーン6付近からコントラストが弱くなります。

・緑線(30/60/2):攪拌間の時間は同じであるが、反転の回数を変えた場合、濃度はゾーン6付近から強くなります。

・黄線(30/30/1):攪拌間の時間が短い場合(30秒)、シャドウ部から濃度が高くなります。

これにより(30/60/1ではゾーン6からのコントラストが弱いことから)、Silversalt 現像液のデータシートで、特定のフィルムに 30/60/2 の攪拌を推奨しています。

このテストでは、攪拌リズムの違いによってコントラストの制御が行えるということを示しています。

この例で挙げている効果は、必ずしも他のフィルムに転用できるわけではないことに注意してください。お使いになるフィルムでテストを行い、ご自分のスタイルに最適な結果を使用されることをお勧めします。

【予約受付開始:コダックT-maxフィルム用 現像液SHADOWmax がSPURから新発売!】

ドイツ フィルム化学の専門企業SPUR社は、自社名での現像薬品のみならず、AdoxとRolleiのための製品開発・製造を長年にわたり行っています。
これまで、Adox アドテックII、Adox シルバーマックス、Rollei RPX-D、Rollei RHC、 Rollei スーパーグレイン..など、数多くの有名現像液を世に出してきました。

そのSPURから、待望のT-max100および400のための現像液 SPUR SHADOWmax が発売されます!

コダックT-maxフィルムは、色調に関しては他のフィルムほど多くの現像液と調和しません。
T-max 100および400フィルムは、調和する現像液で現像された場合、非常に直線的な濃度グラフとなります。
一部の現像液では、T-maxフィルムネガのハイライトにおける濃度が高くなりすぎて、ハイライトはディテールを示さないものとなります。
このことは、フィルムがプッシュされた場合にも問題になります―現像時間が長くなるため、ネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎます。さらに、プッシュされたフィルムは露出不足であるため、シャドウディテールが弱くなります。

優れたプッシュ現像液が備えるべき条件は、優れたシャドウディテールのために高感度での利用が可能なこと、そしてネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎないよう制御する能力を持つということです。
まさにこの「優れたプッシュ現像液に求められる要件」に忠実に応えてくれるのが、SPURの新現像、SHADOWmaxです!

もちろん、フィルムがプッシュされた場合、品質の低下は常にありますが、SHADOWmaxを使用した場合、他の現像を使用した場合に比べ、損失ははるかに小さなものとなります。
T-max 100 はISO 800/30まで、T-max 400 はISO 1600/33まで露出できます。
この現像液でKodak Tri X も現像できますが、プッシュした場合、T-maxフィルムに比べてコントラストが強くなります。

この新現像液で、テスト撮影を行いました。
フィルムはT-max 400を使用、ISO 1600/33で露出されています。
このような高感度で露出する必要はないのですが、SHADOWmaxがもたらす結果を確認したかったのです。
特にこの家の写真はコントラストが高いですが、写真下部のシャドウ部にはまだディテールがあり、直射日光があたっているハイライト部は明るすぎるものとなっていません、ディテールはまだ示されています(=つまりネガ上でハイライト部濃度が高くなり過ぎていません)。
スキャンのトーンとコントラストは変更していません(スキャンは粒子を強調することにご留意ください)。

当方では、この新現像液の予約受付を開始いたします!
確実に手に入れたい方はどうぞメールにてお知らせください。
現像液はおよそ3-4週間ほどで入荷の予定です。

現像液は2パートに分かれた仕様で、容量は300mlと750mlでのご提供です。価格は以下の通りです。

SPUR SHADOWmax 現像液
Sサイズパック:300ml(A液100ml、B液200ml)価格2,740円(税込)
Lサイズパック:750ml(A液250ml、B液500ml)価格5,200円(税込)

処理能力:Sサイズ(300ml)1パックで、6~25本のT-maxフィルムが現像できます。

【Tips:3ストップ露出オーバーのフィルム現像について】

最近、RPX400 120を3ストップ露出オーバーで撮影されたフィルムの現像サービスをお引き受けしました。
ISO 400/27°の代わりに、誤ってISO 50/18°で撮影してしまい、そのフィルムが私たちの元に届きました。

私モーグは、次の現像方法をテストしたところ、驚くほど良い結果が得られました。
ですので、皆さんとシェアしたいと思います。

希釈:(Adoxロディナル使用)1 + 99
温度:16℃
時間:40分
攪拌:30/300/2

テスト現像を行うにあたり、最初に考慮するべき事は「高希釈された現像液および低い攪拌は、非常に高い補正効果をもたらす」ということです。
これは、非常に露出オーバーのハイライト部を制御するのに重要です。
また、低い温度は現像プロセスを遅くするのに役立ちます。

ここで留意しなければならない点が1つあります。
「ロジナールには、120または135フィルムあたり最低5mlの現像液濃縮液が必要である」ということです。

135mmフィルム1本を250ml容量の小さなJOBOタンクで現像する場合、2.5mlの現像濃縮液が使用されることになりますが、これでは足りません。
ですから、500ml容量の大きなタンクを使用し、その中で135フィルムを1本だけ現像することをお勧めします。
そして、5分ごとに攪拌することをお勧めします。十分に攪拌しないとフィルムに筋が入るリスクがありますので。

以下は、この現像方法をテストするために撮影した、ネガのダイレクトスキャンです(このスキャンからほこりを取り除いていませんのであしからず)。
シャドウディテールはもちろん優れています。大変露出オーバーなのであとは何も期待してはいけませんね^^

【SPURフィルム現像液の機能がザクっとわかる表】

SPUR (シュプール)はフィルム現像のための最新の現像液を作り、また最も正確なデータシートを持っている企業です。
彼らはそれはもう、尊敬に値するような万能で特別な現像液を、これまで数多く提供しているのですが、なかなか伝わりにくい…
そこで概要だけがわかるよう各現像液の機能を示す短いリストを作りました。
フィルム現像は複雑なトピックですから、このほかにもいろいろ書きたいことはありますが、あえて詳細は省いてあります。

各SPUR現像液の主な機能

SPUR Acurol N

  • 優れたオールラウンド現像液
  • 非常にシャープ
  • 一部のフィルムにはそれほど高感度にはなりません

SPUR HRX

  • 非常に微粒子
  • 微粒子現像液でありながら非常にシャープ
  • 微粒子現像液でありながら非常に高感度

SPUR SD 2525

  • 高シャープネス
  • 高詳細コントラスト
  • シャープネス現像液でありながら微粒子

SPUR SLD

  • 高感度
  • 高感度現像液でありながらコントラストはそのまま
  • シャープな粒子

SPUR Speed Major

  • ハイコントラストのためのプッシュ現像液
  • プッシュ現像液でありながら良好なシャドウディテール
  • 高感度

SPUR TRX 2000

  • Kodak Tri Xに最適
  • 高感度
  • 美しいトーン

SPUR Dokuspeed SL-N

  • Agfa Copex Rapid専用現像液
  • 高感度
  • ドキュメントフィルムに良好な調性

SPUR Nanotech UR

  • Adox CMS および SPUR Orthopan UR専用現像液
  • ドキュメントフィルムに良好な調性

SPUR HCT

  • 高コントラスト現像液
  • 最高濃度に到達
  • Foma Retropan 320、 Ilford Delta 3200など低コントラストフィルムに便利

Update:Adox Rodinalページ!

現在も生産される最古の現像液Rodinal。非常にシャープかつ多才な現像液ゆえ独自のページを作りました。

現ロジナールユーザーの方に情報を少し追加しましたが、将来のロジナールユーザーの方にとっても役立ててもらえるのではと思います^^ 

http://rodinal.jp

Tips:超露出アンダーで撮影されたSilvermaxフィルムの現像

先日、私たちのラボサービスで、誤って5ストップ露出不足で撮影されたSilvermaxフィルムの現像をお受けしました。

5ストップ露出不足とは、ISO3200/36°でフィルムを撮影したのと同じことになります。
Silvermaxフィルムは露出アンダーを好まないフィルムですので、物事はさらに複雑になります。

お客様のフィルムを現像する前に、まずネガのテストを行いました。
SPURの技術者と相談した後、SPUR Speed Major 現像液を用い、希釈1+7でフィルム現像を行うことにしました。
SPUR Push Masterを20%追加しました。
現像時間は、JOBO CPE-3(回転)で15分、温度は28℃でした。

このテストを始める前、私モーグは、画像は殆ど現れないだろうと、殆ど期待を持っていませんでした。

しかし、結果は予想以上に良いものとなりました。
もちろん、粒子はかなり大きく、シャドウディテールは欠けていますが、画像は良く見えます。
*添付画像はテストネガのものです。

Silvermax ISO 3200/36

【ついに完成!シュプールの新現像液Dokuspeed SL-N】

最高の結果をもたらすことで知られている、素晴らしい組合せのアグファ Copex Rapid とシュプール Dokuspeed SL 現像液。
でも、アグファのこのフィルムは既に製造は行われておらず、在庫分から出荷されているだけの古いフィルムです。
もはや新鮮でないこのフィルムと、以前のDokuspeed SL現像液を使用した場合、ネガ上に不均一な現像スポットが生成されてしまうという問題を発見し、私たちはSPURに報告を行いました。SPURでも同様のテストを行った結果、彼らにも同じ問題が起こり、この結果は共有されました。

そして、この出来事から11カ月が経ち、SPURからこの問題を解決したCopex Rapidのための新しい現像液が完成したとの連絡が入りました。
新製品名は”New”から”N”をもらって、Dokuspeed SL-Nです。
この現像液の使用で、 Copex Rapid 135 は ISO 100/21、 Copex Rapid 120は ISO 80/20 に達しました。
このフィルムにしてはかなりの高感度が得られます!