Sample Photo: 写真表現力の向上に 知る人ぞ知る SD2525

SPUR SD 2525は、優れたディテール描写とシャープネスを目的に設計された現像液です。
通常、この性能を有する現像液は必然的に銀粒子が大きくなりますが、SPUR SD 2525は比較的小さい粒子を保つことができます。
また、この現像液は多くのフィルムで公称感度を実現することができます。

現像液は2液に分かれていて、混合して作業溶液を作成します。このような2液混合タイプの場合、濃縮液の貯蔵寿命は非常に長いものとなります。

サンプル写真は ISO 320/26°で露光されたTri X 135と、ISO 400/27°で露光されたRollei RPX 400 120です。
**写真はフィルムから直接スキャンしたものです。

【Column:Rollei スーパーグレインについての考察】

今日は、みんなの人気者 ローライのオールラウンド現像液「スーパーグレイン」を少し詳しく見てみたいと思います。

はじめに「スーパーグレイン」のヒストリーを少しお伝えしましょう。
この現像液は、ヨーロッパで非常に人気のある 「Amoloco AM74」の処方に基づいています。
特に、面倒くさがりの写真家はみな、この現像液が大好きです―—同感度であれば異なるフィルムでも一緒に現像でき、しかも結果が全く許容範囲内となるのですから。

通常、現像時間はフィルムによって異なります。現像時間が長すぎるとハイライトの濃度が濃くなり、プリントが困難になります。「AM74」は、ハイライトが高濃度になりすぎないようにする補正現像液だったため、これを避けることができ、それゆえプリント作業をより容易なものにしました。
こんなことから「AM74」は学校の写真部でも人気がありました。
私モーグが学校の写真部にいたときも、この現像液をロジナールと共に使ったことを覚えています。
他の特徴として、微粒子および比較的高いシャープネスがあります。ほとんどのフィルムは「AM74」で公称感度に達しました。

「AM74」の子孫である「ローライ スーパーグレイン」にも、上に述べた機能があります。

「スーパーグレイン」は、きめの細かい、それでいてシャープな結果を実現できます。
微粒子なのは、現像剤に物理的現像を可能にする多くの錯体形成物質が含有されているからです。また現像液のpH値は、拡散速度と現像速度のつり合いが取れるよう設定されています。
したがって、現像過程の中で物理的現像と化学的現像は、バランスを取りながら同時に起こっています。シャープネスは化学的現像が担当しています。

では、物理的および化学的現像とは何でしょうか?
フィルムが物理的に現像されると、銀ハライドは乳剤から移動して現像液中の物質と錯体を形成し、それらの錯体は乳剤中の現像コア(露光を受けた銀ハライド)に移動します。
この現像スタイルは、化学的現像よりも細かい粒を生み出します。物理的現像された銀は、コンパクトで球形です。
一方、化学的現像は、乳剤中の現像液による、露光された銀ハライドの減少を意味します。 化学的現像された銀はより粗くそして糸状です。

少量のヒドロキノンおよび一硫酸塩を使用することで、現像剤は長い貯蔵寿命を有し、また高希釈で美しいトーンを生成します。

あなたが望めば、同感度の、異なるフィルムを一緒に現像することができます。
そしてそれらの結果が満足のいくものになることを望むでしょう。
私は、このようなフィルム現像方法を好んでは行いません。各々のフィルムに対してそれぞれの現像手順で最高の結果が得られるように試みます。
もちろん通常通り、「ローライ スーパーグレイン」は各フィルムの個別現像に使用できますし、優れた結果をもたらします。

今回の記事では、希釈率と現像時間の違いが結果にどのように影響するのかを、テストを交えて見ていこうと思います。

テストには、「ローライ RPX 100」と「ローライ スーパーパン 200」の2種類のフィルムを使用しました。
「RPX 100」は、直線の濃度グラフを描き、標準的なフィルムを表します。露出しやすく、また現像し易いです。
「Superpan 200」は、S字型の濃度グラフを描きます。この種のフィルムは、シャドウ部で弱く、中間トーンで強いコントラスト、そしてハイライト部で低いコントラストを持ちます。

「スーパーグレイン」現像液のラベルには、1+9、1+12、1+15 の希釈が示唆されています。
もちろん、これらの間の全ての希釈で行うことができますし、1+9より低希釈、1+15より高希釈で使用することもできます。
私モーグは1+20を好んで使います。

「ローライ RPX 100」では、希釈1+20で現像を行いました。
結果の予測は可能なのかをみるため(規則性を見出すため)に、以下の条件で、現像時間を変えてテストを行いました。
露光:ISO 100/21°
希釈:1+20
現像温度:20℃
攪拌:30/30/1
現像時間:7分/7.5分/8.5分

下のグラフを見ると、この現像液へフィルムがどのように反応するか予測が立てられることがわかります。

現像時間は常にゾーン8で決定されます。
現像時間が長くなるとコントラストがどのように強くなるかがわかります。

現像時間7分では、N-1.5 現像(低コントラスト)となっています。
緑グラフ(7分)のゾーン9.5で、青色のDIN/ISOグラフのゾーン8と同じ濃度に達しています。
現像時間7.5分では、N-0.75 現像(低コントラスト)となっています。

現像時間8.5分では、N+1 現像(高コントラスト)となっていますね。
赤グラフ(8.5分)のゾーン7で既に、青色DIN/ISOグラフのゾーン8と同じ濃度に達しています。

ここで、現像時間8分のグラフとして投影線(水色の点線)を引いて予測を立てることができます。ゾーン8で水色グラフ(8分)と、青色DIN/ISOグラフは同じ濃度になっています。
現像時間8分くらいのところで、N 現像(通常コントラスト)になることが読み取れますね。

*注*このテストでは、コントラスト調整の現像で通常行われるような露光感度の補正は行っていません。

次に、「ローライ スーパーパン 200」では希釈率を変えてテスト結果を比較しました。
このフィルムの実効感度は、ほとんどの現像液において最高でISO 100/21°です。
そして非常に頻繁に、この感度はより低くなります。
ですが私はこの知識を無視して、ISO 200/24°の公称感度で露出しました。

露光:ISO 200/24°
希釈:1+12、1+16、1+20、1+28
現像時間:8分
温度:20℃
攪拌:30/30/1

グラフのS 字型は、このフィルムの特徴です。これもゾーン8で、希釈率を変更した場合の結果の予測可能性を見ることができます。
もちろん、現像時間が同じであれば、低希釈液は高希釈時に比べて、はるかに高い濃度をもたらします。

低希釈時は高コントラストとなり、高希釈の場合は低コントラスを示すことがグラフから読み取れます。
ゾーン8を見ると、希釈の違いによるコントラストの違いがほぼ等間隔で現れています。
このことから、希釈の違いによっても結果の予測は立てられることがわかります。

1+28の結果は興味深いものです―—グラフはS字型を描いていません。
Sを描くには、もちろんコントラストが低すぎます。
現像剤の量がフィルムを完全に現像するのに十分ではなかった可能性もあるなと、私はそんな疑いをもっていました。でも、36露光フィルムを完全に現像するためには希釈1+20で240mlの作業溶液があれば十分であることを知っていました。ですから、テストストリップの長さが16露光分だけであるので、1+28の希釈でも、現像剤の量は十分に足りていたと考えられます。

では、これら長時間にわたったテストの総括を含め、この現像液について以下にまとめてみます。

「ローライスーパーグレイン」現像液は:
・非常に良好なオールラウンド現像液である
・結果の予測が容易である
・多くのフィルムで公称感度に達する
・粒子が細かい
・有害物質の含有量が非常に少ないため、他の多くの現像液に比べてより”エコ”である
・ハイライトの補正効果は、広い輝度範囲のフィルムを現像する必要がある場合に最適
・135mmと120サイズフィルムの場合は特に、1本のフィルム内にコントラストが大きく異なるであろう多くの異なる写真が存在するため、このような補正現像液は非常に便利
・シートフィルムにも使用可能。回転現像は上手く動作する

尚、私はトーンがきれいに見えることから、希釈は1+20をおススメします。
ですが、トーンについて定量化するのは難しく、もちろん非常に主観的なものです。

これを読んでくださっている皆さんが、皆さん自身によってテストを行ない、ご自身で決定されるのであれば、それが一番です!

Tim Moog(Silversalt)

相性抜群!Kodak Tri X と SPUR Speed Major 現像液

以下は、ISO 800/30°で露出されたTri X 135のサンプル写真です。
コントラストはすっきり、ハイライトは吹き飛ばされていません。

ランプの写真のハイライトは、フラッシングや焼きこみによって(そこによりディテールを得ることができ)簡単に救済可能です。

全ての写真は何の操作もせずネガから直接スキャンしたものです。

SPUR Speed Major 現像液

Rollei Infrared 400 4×5 と R09現像液

以下は、Rollei Infrared 400 4×5 x R09現像液 によるサンプルフォトです。

このフィルムは、赤外線領域まで感光性のある通常フィルムとして使用できます。そのため、必ずしも赤外線用のフィルターを必要としません。もし強い赤外線写真の効果を必要としない場合は、フィルターなしで撮影することができます。

私は、このフィルムのミドルトーンにおける強いコントラストが本当に好きです。
もちろん、弱いシャドウ部 (白い石の後ろの非常に暗い背景)と、ハイライト部コントラスト(石の非常に明るい部分)が代償を払うことにはなりますが..(ミドルトーンに素敵なコントラストを得る代償として、シャドウ部とハイライト部のディテールはそれゆえ失われます)。

この日の天気は晴でした。ですから、コントラストが既にかなり高かったため、このフィルムの露出は簡単ではありませんでした。

フィルムは ISO 100/21で露出されています。シャドウディテールがやや良く出ています。

あなたがフィルムと現像液の性格をよく知っているのでしたら、その知識は、あなたの被写体に フィルムx現像液の正しい組合わせを使用できる というアドバンテージとなります。

画像はネガからスキャンしたものです。データは以下の通りです。
現像液:R09
希釈:1+49
現像時間:15分(20℃)

もちろん JOBO2520タンクで回転現像を行いました^^

現像データ : Rollei RPX 100 135 x R09現像液

東京オルタナ写真部さんとのコラボによる アナログ写真のビギナーワークショップに向けて、モーグはR09現像液におけるRollei RPX 100 135の現像時間のテストを行いました。
フィルムはISO 100/21で露出、R09現像液は1 + 25の希釈で現像しました。温度は20℃、現像時間12分、 攪拌30/60/3で行いました。

下の濃度グラフで分かるように、結果(赤色曲線)は非常に良好なものとなりました。
シャドウ領域 ☞ ゾーン1の濃度は0.12です。これは非常に良好なシャドウディテールが得られることを示しています。

ミドルトーン領域 ☞ 最も高いハイライトに至るまでの残りの曲線部は、青色で示したDIN / ISO標準グラフとほぼ同じであり、これはプリントを非常に簡単にします。

ハイライト領域 ☞ ゾーン9からは補正効果が見られます。これはハイライトをコントロールし、ハイライトをプリントするのに役立ちます。

新製品:Adox HR-Devってどうなの?

つい先日、アドックスよりリリースされた期待の新製品、Adox HR-Dev について、もう少し詳しくお伝えしようと思います^^

HR-Dev は、高いベース感度およびハイライトの補正効果を持つ、高感度現像液です。
このことはHR-Dev が、高いフィルム感度において非常に良好な諧調が得られることを意味しています。
また、高いシャープネスに加えて(高感度現像液の中では)相対的に細かい粒子を有します。

私たちは、この現像液を Adox HR-50フィルムにだけではなく、他のフィルムにもご使用になることをお勧めします。高いフィルム感度で撮影を行う場合は特にです。Kodak Tri X、T-max、HP5 +で素晴らしい結果が得られます。

HR-Dev は、SPUR SLDに似ていますが、増感にはより適しています。
ただ、SLDでより素晴らしい結果を出すイルフォードデルタ400は例外です。

またSLDとの違いということでは、HR-Devはイソアスコルビン酸を現像主薬に使用されていないことがそのひとつに挙げられます。

HR-Dev が SPUR SLDより増感に適しているとはいっても、SPUR Speed Major ほどではありません。
HR-Dev はSpeed Major に比べ、より優れた階調性を備えているのでコントラストはやや低くなります。
ベース感度はHR-Dev とSpeed Major は同じです。

たとえば、双方の現像液で、通常コントラストで Ilford FP4+は ISO 200/24°に達します。
一方、双方の現像液の違いは、Adox Silvermaxフィルムに見ることができます。Speed Majorでは、 ISO 200/24°でコントラスト N+1、HR-Dev では、フィルムは同感度でノーマルコントラストを保ちます。

あなたが高いフィルム感度で撮影したい場合、HR-Dev は素晴らしい現像液です。
太陽の光が弱くなる今からの時期に、特におすすめします!

HR-Dev / HR-50 製品ページ

HR-Dev の現像データを追加しました

【Update:現像液の保存方法~冷蔵庫での保管は否か?】

ところでみなさん、現像液はどのように保管されていますか?

できるだけフレッシュな状態で長期間保管するには、直射日光の当たらない暗くて涼しい場所を選んで、茶色のガラス瓶で、空気との接触をできるだけ避ける工夫をし保管する・・・

具体的な方法については、既に私たちのチュートリアルに記載してある通りなのですが、今年の夏も非常に暑く、家の中で涼しい場所なんて冷蔵庫以外にはないよ;;と冷蔵庫で現像液を保管されていた方も多いのではないでしょうか。

でも・・現像液は冷蔵庫で保管するべきではありません!

冷蔵庫内は薬品の最適温度12-15℃よりも低いですから、現像液内に結晶を作り出してしまいます。

現像液に含まれるさまざまな薬品成分のうち、冷蔵庫内の温度で反応する一部の薬品成分が結晶化すると、その薬品からの効果が得られなくなってしまいます。

また、通常の現像液は成分が完全に溶け切っていますので、現像液中のどの部分、ボトル底部分であっても真ん中でも均一の成分比率であり、結果に差がでませんが、結晶があると現像液内の成分分布に差が生じます。そのため、再現性が低くなる可能性があります。

冷蔵庫内での保管を避けるべき理由は以上の通りなのですが、

でも、実際夏の間、冷蔵庫内で保管していたが、涼しくなって現像液を取り出してみたら一部が結晶化しているのを発見!といような場合はどうするか・・・?

結晶のある現像液をそのまま使うというのは、お勧めはしません。
中には問題なく使える場合もありますし、全く使えなくなってしまっているものもあり、両方の可能性があります(でもだいたいの場合は使えないことが多いですが)。
・・・では、できてしまった結晶をもとに戻すことは可能なのでしょうか?
これも確実な解決方法にはなりません。
でも、以下のことを試してみてください。

現像液を温めてみてください。30℃くらいで十分なはずです。
結晶の消失効果を目で確認できない場合は、ゆっくりと温度を上げていきますが、結晶の消失までには数時間を要するため、温度を上げる前には常に1時間ほど待ってから行います。
現像液を温めすぎないよう、十分に注意をして行って下さい。

でも、これで万事うまくいくとは限りませんのであしからず^^;
最後まで溶けないで残る結晶もあるからです。

現像薬品をフレッシュな状態で維持する方法 :https://goo.gl/kZZTfF

【Test:SPURの新現像液HCT】

SPURの新しい現像液、製品名はHCT、これはHigh Contrast Technicalの略です。
 
あなたはたぶん「ああ、テクニカルな現像液か、自分には関係ないや・・」と思うかもしれません。
ですがこの現像液は、使用できる希釈度に非常に広い幅を持っています。
 
希釈度が低いほど、コントラストは高くなります。
ですから希釈が十分に高ければフィルムは通常コントラストに現像することができます。
 
コントラストが低い傾向にあるフィルムを使用して、通常コントラストを望むような場合にHCT を使用すれば、「これは使える!」となるでしょう。
 
コントラストが低い傾向があるフィルムには、Rollei RPX 400 、Foma Retropan 320 や Ilford Delta 3200 があります。
 
以下は、RPX400とRetropan 320を使用して作成した、HCTのテスト現像の結果です。比較として標準DINグラフを青色で示してあります。
 
Retropan 320のグラフでは、Retropan スペシャル現像液を使用した場合も、黄色グラフであわせて示しています。
赤色グラフはHCTの濃度を示していますが、これを見るとゾーン4~8にかけてグラフが蹴り上がっていて、それ以降の高いゾーンでは少しだけフラットになっています。あなたが中間ゾーンでハイコントラストを好む場合、興味深い見栄えのあるネガとなるかもしれません。
 
RPX400は、大きな直線とゾーン8から始まる補正効果を示しています。
このことは、「このフィルムの買求めやすい価格は気に入っているが、コントラストを低下させる傾向が気に入らなかった・・」という方にとっては、本当に良いニュースです!
 
また、この現像液は、ペーパー用としても使用できます。
私は、いくつかのFomaペーパーのように、乳剤に現像剤が埋め込まれていないようなペーパーへの使用に、特におすすめです(逆に現像剤が埋め込まれているペーパーにはそこまで強く反応しません)。
 
大きな引伸ばしを行った場合、ハードフィルタを使用したとしてもプリントのコントラストは低くなってしまいます。SPUR HCTは、そのようなBIGプリントで、高コントラストを得る助けとなってくれます。
 
SPUR HCTはこちらからどうぞ: