Fomapan フィルムについて

本テストでは、以下フォマ主要3フィルムの比較を行いたいと思う。
Fomapan 100200 および 400

これらフィルムはすべて “profi line (フォマパン プロフェッショナル ライン)“であり、私の経験では最も安定した最良の結果が得られるフィルムである。
テストは、フィルムのボックススピード(公称感度)ではなく、実効感度でテストを行う。
Fomapan 100の実効感度はISO 100/21°、Fomapan 200の実効感度もISO 100/21°、Fomapan 400はISO 200/24°である。

Fomapan 100と400は立方晶粒子(cubic grain )フィルム。Fomapan 200はよりモダンな平板状粒子(tabular grain) を持つフィルムである。Fomaではこの平板状粒子の乳剤のことを”hexagonal core”あるいは”shell tabular”粒子と呼んでいる。
通常、平板状粒子フィルムは立方晶粒子よりも定着時間を長く要する。ゆえにFomapan 200の定着時間は長くなる。Fomapan 100と比較して2.3倍長いクリアタイムを私は測定した。
Fomapan 100のフィルム色は、Fomapan 200や400がより緑色であるのに比べ、やや紫色が強い。

現像液には、私はSPUR Silversaltを選んだ。
理由は、フィルムの真の感度(実効感度)を引き出し、非常にシャープネスを実現してくれるからである。
この現像液は、「自然な」カーブの濃度グラフとフィルムの特徴を維持するという意味で、フィルムの濃度グラフを変えることがない。また、粒状性も保たれる。
例えばAdox Atomal 49は補正現像液で、ハイライトをフラットにし、粒子を丸くする。
一方、Adox Rodinalはその逆となる。標準的な希釈では、ハイライト部の曲線はより急峻となる(コントラストをより強める)傾向がある。
私はフィルムの真の特徴を保ちたいので、SPUR Silversaltを使用している。

まず、フィルム解像度のテストを行った。ターゲットのコントラストは1:64(6ストップ)。これは街角でよく見られるコントラストである。
解像度は1:1000の方が高いが、1:64の方が撮影者の日常生活によりリアルである。コントラストが高くなれば解像度も高くなるからである。
結果は以下の通り。
Fomapan 100: 37 lp/mm
Fomapan 200: 37 lp/mm
Fomapan 400: 33 lp/mm

(これらの結果は、解像度テストの他の結果と直接比較することはできないことに留意してください。それらはテストの個々のセットアップに依存しすぎるためです)

この後、カラーテストを行った。それぞれの色がモノクロームでどのように表現されるだろうか。
Fomapan 100は、200や400に比べて赤が際立って濃い。
Fomapan 400は、最も明るい赤と最も暗い緑を持つ。

テストフォトは、濃度グラフから得られたデータで撮影を行った。フィルム感度のゾーン1と現像時間のゾーン8が基準点である。
これは私が推奨するデータだが、もちろん露出や現像時間を変えたり、別の現像液を使ったりすることで、フィルムの印象は大きく変わる。
私の側からは、例えばゾーン5の濃度を3本とも同じにするなど、フィルムのトーンを合わせる努力はしていない。
また、フォマパン400のシーンは他のとは少し異なる。ISO設定の際にミスをしてしまい、すでに撮影シーンをバラしてしまった後にシーンを再び作り直さなければならなかったからだ。

スキャンはもちろん本物のプリントの代わりにはならない。 例えば、粒子はプリントよりもスキャンの方が粗く見える。しかし、フィルムの見た目の第一印象をあなたに与えてくれる。
テストフォト中にあるグレースケールを見て欲しい。これは”Grey Scale #14″と呼ばれている。グレースケールには19のフィールドがある。19番が最も暗い。Fomapan100では、18番と19番ではネガで違いが見られない。
ネガで、テストフォトのグレースケールのフィールドが、隣のより暗いフィールドと明確に区別できたのは、以下の通り。
Fomapan 100:フィールド18まで(19のうち)
Fomapan 200: フィールド19全て(グレースケール全体において明確に区別できた)
Fomapan 400: フィールド19全て (グレースケール全体において明確に区別できた)

これは、たとえスキャン上のフィールドが暗すぎたとしても、露出が十分であったこと (ネガのシャドウディテールが良好である) を示している。

Fomapan 400は硬質な感じがすると思う。濃緑と薄い赤がカラーベースで強いコントラストを生み出している。粒子はかなり目立つ。特に公称感度のISO 400/27°で撮影すると、シャドウディテールが少なく、非常に生々しいフィルムに見える。
ISO 200/24°の実効感度で露光すると、シャドウディテールは良くなるが、粒子はISO 400/27°よりも大きくなる傾向がある。非常に強い表現のためのフィルムだ。

Fomapan 200は、ここで比較した3フィルムの中で最もモダンでオーソドックスな表情を持つ。それはきっと、平板状粒子構造の結果だろう。
ISO 100/21°程度の実効感度で露出したこのフィルムは、フォマパンの中で最も優れた中感度オールラウンドフィルムである。

Fomapan 100は、とてもクラシックなフィーリングを持つ。昔のオルソクロマチックフィルムを彷彿させる濃い赤のせいかもしれない。特別な表情を持つかなりユニークな乳剤だ。
でも、ハイライトには気をつけなければならない。簡単に白飛びしてしまう。ポートレートやヴィンテージ風の写真を撮りたい人にはいいフィルムだと思う。

フォマパンは攪拌が足りないとムラが出やすい。現像液や希釈度によっては、わずか1分の攪拌中のレスト時間でも長すぎ、パーフォレーションホールやネガの短辺から現像ムラが発生することがある。

【Foma Ortho 400 120xSPUR Silversalt現像液】

Foma Ortho 400 120フィルムSPUR Silversalt現像液で現像するにあたり、ストウファ グレーウェッジを120フィルムの上に置いてテスト露光をしました。この方法でネガサイズ6×6で露光を12回行うことができました。非常に時間のかかる手順です。

私の希望はフィルム実効感度 ISO 200/24°くらいでした。
そこでISO 400/27°で4回、ISO 200/24°で4回、ISO 100/21°で4回露光しました。
現像は、新製品のJOBO SilverBaseを使った回転現像をチョイス。回転現像にすることで現像液を大幅に節約できます。

露光ISO100/21°(黄グラフ)のフィルムから始めたのですが、シャドゥディテールが弱いことに驚きました。このフィルムの実効感度は、おそらくISO50/18°かそれ以下でしょう。濃度グラフは強いS字型を示しています。
ゾーン1にはシャドゥディテールがありません。そこからゾーン6まではコントラストが強く、そこからはコントラストが弱くなっています。
良好なシャドゥディテールを得たい場合、公称感度よりも3ストップ以上露光する必要があります。この場合、ミドルトーンの濃度が高くなりやすいので注意が必要です。
このフィルムはシャドウが弱いことを受け入れ、フィルムの性格に合った被写体を選ぶことをお勧めします。
もちろん、反転攪拌を行う場合、濃度グラフの形が大きく変わる可能性もあります。

ISO200/24°(紫)とISO400/27°(赤)のグラフは、ISO100/21°(黄)グラフと比べるとまったく異なり、S字がさらに強くなっています。
シャドウディテールは非常に弱いです。Zone3では少し濃度が出ています。
Zone 5からZone 6.5まではコントラストが非常に強く、Zone 6.5以降は普通になります。
ISO 200/24°と400/27°はISO 100/21°と比べてハイライト部のコントラストが強いです。

シャドウディテールに関しては、ISO 200/24°(紫)で露光しても400/27°(赤)で露光してもあまり変わりはありません。
ベース&フォグは、すべてのテスト露光でlogD 0.22程度と低いです。