【SPUR TRX 2000現像液におけるRollei RPX 400】

Rollei RPX 400は、露出アンダー、現像オーバーであっても、比較的ソフトなコントラストを保つことができるフィルムです。
このRPX 400 135をISO 800/30°で露出し、SPUR TRX 2000現像液で(SPUR推奨データで)現像しました。
以下に挙げたほとんどの写真が早朝に撮影されたものです。コントラストが強くなりすぎず、それでいてグラデーションはOKと言えるので(許容範囲内なため)気に入っています。

粒子はスキャンではかなり粗く見えます。特に3枚目の写真の空で確認できます。スキャナーの特性として、粒状感が強調される傾向があります。スキャナーでは(その特性として)粒子が強調されがちですが、紙のプリントでは、あまり目立ちません。

手持ちで撮影し、時には露出時間を長くしたため、すべての写真が完璧なシャープというわけではありません。露出はゾーンシステムにより、ゾーン5で行われました。

【現像データ 】
フィルム :Rollei RPX400 135
現像液: SPUR TRX 2000
希釈: 1+17
温度:20°C
現像時間:14分
攪拌: 30/60/2 (JOBO 1510Heiland TAS使用)

【Sample : Adox CHS 100II x SPUR Silversalt現像液】

画像は、SPUR シルバーソルト現像液における Adox CHS 100II のサンプルです。

強いショルダーを持つフィルムゆえ、ハイライトの取扱いが簡単です。

このフィルム(35mmサイズ)を露出する際、ハイライト濃度が高くなりすぎないため、シャドウだけに集中できます。私はこのフィルムの滑らかな色調と小さな粒子が好きです。

SPUR Silversalt 現像液では優れたアキュータンスを示します。
とても魅力的な組み合わせです✨

最高のシャドウディテールを得るために、ISO80 / 20°での露出をお勧めします。
しかしもちろん、ISO100 / 21°でも良い結果が得られます。

下の写真のいくつかに高コントラストを見ることができます。
私はこの高コントラストについて、現像行程中のN-現像を気にする必要はありませんでした。フィルムのフラットショルダーが、ハイライトが明るくなりすぎるのを防いでくれるからです。
下の濃度グラフを確認してください。 グラフ中のフラットショルダーが、ネガを簡単にプリントできることを示しています。
フラットショルダーはフィルムの特徴であり、SPUR シルバーソルト現像液の特徴ではないことに注意してください。

【Update:Rollei Superpan 200 120 x SPUR Silversalt現像液 】

Rollei Superpan 200 120フィルムをISO 100/21°で露出しました。
Silversalt現像液でのデータは以下の通りです。
希釈:1+25
温度:20℃
現像時間:12分
攪拌:30/60/2

下のグラフをご覧ください。Superpan 200は、濃度グラフのミドルトーンに、非常に急こう配な箇所があるのがわかります。
これは、Superpan 200が中間トーンにおいて強いコントラストを示すことを意味します。

写真からわかるように、私が撮影したのは雨の直後で、晴れてはいませんでした。
住宅や建物はほとんどがミドル~明るいトーンで、通常でいえば、ちょっとたいくつな低コントラストの風景です。
ですが、ミドルトーンにおいて強コントラストのこのフィルム乳剤は、風景の低コントラストを均一化してバランスをとってくれています。
これが真っすぐな濃度グラフを描くフィルムですと、このような結果をネガにもたらすことはないでしょう。
もちろん、そのような通常のフィルム(ミドルトーンでノーマルコントラスト)を、より高コントラストでプリントすることでも同じような結果は得られますが、Superpan 200のネガには、既に私が欲しい見栄えとコントラストが得られています。この場合、グレード2~2.5間のコントラストグレードでプリントでき、完璧です。

とはいえ、写真には ”何かを得たら、何かを与える(失う)必要がある” という基本ルールがあります。
このルールを当てはめると、私はミドルトーンに強コントラストを得ましたが、シャドウは弱くなり、ハイライトは低コントラストとなりました。

弱いシャドウについては、(公称感度の)ISO 200/24°ではなく ISO 100/21°で露出することによって、若干回避できました。
これもルール通りです―シャドウディテールは得られましたが、フィルム感度は低くなりました。

【Sample Photos: RPX 400 120 x SPUR Silversalt現像液】

以下は、SPUR Silversalt現像液による、Rollei RPX 400 120のサンプルフォトです。
RPX 400 120は、ISO 320/26°で露出されました。現像データは以下の通りです:
希釈: 1+20
温度: 22°C
現像時間:14分
攪拌: 30/60/1

最初と2番目の写真は、コントラストが非常に強いです。
早朝の太陽の直射日光が、非常に強いハイライトを作っています。
RPX 400は、コントラストが低めのフィルムですので、低コントラスト現像(プル現像)はしませんでした。
フィルム乳剤が私に有利に働いてくれました。

3番目の写真は日射しのない中で撮影されました。
SPUR Silversalt現像液が生み出すディテールコントラスト(細部におけるコントラスト)をここで見ることができます。
シャッターの錆がくっきり、コントラストも良好です。
店の看板、カーテンや壁の汚れも同様です。
本来、RPX 400は極小粒子乳剤ではありませんが、全ての画像に比較的細粒子が認められます。

【Update:SPUR Silversalt現像液xAdox CHS 100 II 】

SPUR Silversalt現像液でのAdox CHS 100 IIのテスト結果です。
☟以下は、このようなグラフに慣れていない方に向け簡単に説明いたします☟
このグラフは、ネガの各グレートーンの「銀濃度」が、どのくらい高いかを示しています。
横軸は、ゾーンを表します。左側はシャドウ、右側はハイライトです。ゾーン5はミディアムグレーを表します。
縦軸は濃度を表します。低い値は、ネガ上でクリアな領域を表します。
青線グラフは標準線です。これは、値を比較するために使用されます。

Adoxは、CHSフィルムの見栄えは1960年代からのままであると主張しています。
グラフの緩やかなS字曲線を見るに、この主張は正しいと言えます。
シャドウは少し弱く(青の標準グラフより濃度が低い)、ミドルトーンのコントラストはわずかに強くなっており(標準グラフよりもグラフの傾きが急)、ハイライトは非常に柔らかくクリーミーです(標準グラフよりも傾きが小さい)。

通常コントラスト(N)の場合、紫グラフのデータをお勧めします。
希釈:1 + 30
温度:24°C
現像時間:14分
攪拌:30/60/1

緑グラフは、より強いコントラスト(N + 1)を表します。
希釈:1 + 20
温度:24°C
現像時間:12分
攪拌:30/60/1

紫グラフのミドルトーンの濃度が高すぎると感じる場合は、黄グラフのデータを使用してください。

非常に明るくソフトなコントラストのネガには、赤グラフのデータを使用できます。
ただし、「通常の」外観のネガが必要な場合、このデータはお勧めしません。

フィルムのシャドウはやや弱いですから、より良いシャドウディテールを求める場合、ISO 80/20°での撮影をお勧めします。

SPUR Silversalt現像液:ベルゲール パンクロ および シネスティル BWxx/Kodak Double X テスト結果

SPUR Silversalt現像液におけるベルゲールパンクロフィルムのテストを開始しました。
…が、よい結果を得ることは難しかったです。
ベルゲールパンクロフィルムは、多くの現像液において、ISO 200/24°だけで露出されたとしてもカブリが高く、コントラストが低いため、フィルムの現像は困難です。Silversalt現像液でも同じ結果となりました。

ということで、
現在のところ、ベルゲール パンクロフィルムのベスト現像液は SPUR HRXです。HRX使用でボックススピード(公称感度)にも達します。
ベルゲールパンクロフィルムには、SPUR HRX現像液の使用を強くおススメします!

そして、もう一つのテスト―シネスティル BWxx/Kodak Double X におけるシルバーソルト現像液とのテストでは、よい結果を得られました。

標準コントラストには以下のデータをおすすめします。

ISO 設定: 250/25°
希釈: 1+30
温度: 20°C
現像時間: 13 分
攪拌: 30/60/2

より高コントラスト (N+1)には、以下の通り。
ISO 設定: 320/26°
希釈: 1+20
温度: 20°C
現像時間: 10 分
攪拌: 30/60/2

【SPUR Silversalt 現像液-フィルムサイズによる比較】

通常、フィルム現像液用のデータシートには、35mmフィルムの現像データが記載されています。
「120フィルムに同じデータを使用できますか?」という質問をよくお受けしますので、今日はこれについて書こうと思います。

Rollei RPX 400フィルムを2本、35mmと120サイズの異なるサイズでそれぞれ撮影しました。
2本のフィルムは同じカメラで露出され、同じレンズが使用されています。
また、1つのタンクで2本一緒に現像し、SPUR SilversaltにおけるRPX 400の標準データを使用しました。
現像データは以下の通り:
希釈:1+20
温度:20℃
時間:14分
攪拌:30/60/1

結果を見ますと、120フィルムは1 DIN(1/3ストップ)長く露出されるべきということが示されています。
ですから撮影はISO 400/27°ではなく、ISO 320/26°で露出する必要があるということになります。
120フィルムがISO 320/26°で露出された場合、下画像中の赤色グラフは少し左に移動し、135フィルムのグラフとほぼ同じ濃度になります。

もちろん、このテストは他のすべてのフィルムには使用できませんが、120フィルムを1または2 DIN長く露出した場合には、135フィルムの場合と同じ現像データを使用できると想定しても大丈夫です。
そして、いつもお伝えしていることですが、あなた自身でテストされることをお勧めします!

【Silversalt 現像液:攪拌リズムによるコントラスト制御】

攪拌リズムの違いによって、効果にどのような違いが出るかテストを行いました。

以下に例を示します。

フィルムはRollei Retro 400S 135、現像液はSPUR Silversaltです。

3つのテスト全てにおいて露出(ISO 100/21°)、希釈(1+30)、現像時間(14分)、温度(20℃)は同条件、攪拌のみを変更して行いました。

攪拌リズムは以下の3通り:

・30/60/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに1回)☜Silversalt現像での標準的攪拌

・30/60/2 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに2回)

・30/30/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は30秒ごとに1回の反転攪拌を時間がくるまで繰り返す)

結果は非常に興味深いものであり、攪拌によってこのフィルムのコントラストがどのようにコントロールできるかを示しています。

図は、攪拌リズムによって色別に示した濃度グラフです。

・赤線(30/60/1):攪拌がSilversalt現像液の標準的な攪拌(30/60/1)で行われた場合、ゾーン6付近からコントラストが弱くなります。

・緑線(30/60/2):攪拌間の時間は同じであるが、反転の回数を変えた場合、濃度はゾーン6付近から強くなります。

・黄線(30/30/1):攪拌間の時間が短い場合(30秒)、シャドウ部から濃度が高くなります。

これにより(30/60/1ではゾーン6からのコントラストが弱いことから)、Silversalt 現像液のデータシートで、特定のフィルムに 30/60/2 の攪拌を推奨しています。

このテストでは、攪拌リズムの違いによってコントラストの制御が行えるということを示しています。

この例で挙げている効果は、必ずしも他のフィルムに転用できるわけではないことに注意してください。お使いになるフィルムでテストを行い、ご自分のスタイルに最適な結果を使用されることをお勧めします。

【予約受付開始:コダックT-maxフィルム用 現像液SHADOWmax がSPURから新発売!】

ドイツ フィルム化学の専門企業SPUR社は、自社名での現像薬品のみならず、AdoxとRolleiのための製品開発・製造を長年にわたり行っています。
これまで、Adox アドテックII、Adox シルバーマックス、Rollei RPX-D、Rollei RHC、 Rollei スーパーグレイン..など、数多くの有名現像液を世に出してきました。

そのSPURから、待望のT-max100および400のための現像液 SPUR SHADOWmax が発売されます!

コダックT-maxフィルムは、色調に関しては他のフィルムほど多くの現像液と調和しません。
T-max 100および400フィルムは、調和する現像液で現像された場合、非常に直線的な濃度グラフとなります。
一部の現像液では、T-maxフィルムネガのハイライトにおける濃度が高くなりすぎて、ハイライトはディテールを示さないものとなります。
このことは、フィルムがプッシュされた場合にも問題になります―現像時間が長くなるため、ネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎます。さらに、プッシュされたフィルムは露出不足であるため、シャドウディテールが弱くなります。

優れたプッシュ現像液が備えるべき条件は、優れたシャドウディテールのために高感度での利用が可能なこと、そしてネガ上のハイライト部濃度が高くなりすぎないよう制御する能力を持つということです。
まさにこの「優れたプッシュ現像液に求められる要件」に忠実に応えてくれるのが、SPURの新現像、SHADOWmaxです!

もちろん、フィルムがプッシュされた場合、品質の低下は常にありますが、SHADOWmaxを使用した場合、他の現像を使用した場合に比べ、損失ははるかに小さなものとなります。
T-max 100 はISO 800/30まで、T-max 400 はISO 1600/33まで露出できます。
この現像液でKodak Tri X も現像できますが、プッシュした場合、T-maxフィルムに比べてコントラストが強くなります。

この新現像液で、テスト撮影を行いました。
フィルムはT-max 400を使用、ISO 1600/33で露出されています。
このような高感度で露出する必要はないのですが、SHADOWmaxがもたらす結果を確認したかったのです。
特にこの家の写真はコントラストが高いですが、写真下部のシャドウ部にはまだディテールがあり、直射日光があたっているハイライト部は明るすぎるものとなっていません、ディテールはまだ示されています(=つまりネガ上でハイライト部濃度が高くなり過ぎていません)。
スキャンのトーンとコントラストは変更していません(スキャンは粒子を強調することにご留意ください)。

当方では、この新現像液の予約受付を開始いたします!
確実に手に入れたい方はどうぞメールにてお知らせください。
現像液はおよそ3-4週間ほどで入荷の予定です。

現像液は2パートに分かれた仕様で、容量は300mlと750mlでのご提供です。価格は以下の通りです。

SPUR SHADOWmax 現像液
Sサイズパック:300ml(A液100ml、B液200ml)価格2,740円(税込)
Lサイズパック:750ml(A液250ml、B液500ml)価格5,200円(税込)

処理能力:Sサイズ(300ml)1パックで、6~25本のT-maxフィルムが現像できます。

【Column:同感度で撮影された異なるフィルムRollei RPX 400とCR Santaについて】

これらは、数日前の早朝に撮影した写真です。
使用フィルムはRollei RPX 400CR Santa RAE 1000。どちらのフィルムも35mmで、ISO800/27°で露出されています。
現像液はサンタフィルムには Adox Rodinal、RPX400にはSPUR Speed Majorを使用しました。

これらの写真はみな同じISO 800/27°で、同じカメラとレンズで撮影されているのに、非常に異なった印象を受けますね。
見比べてみると面白いことがわかります。

サンタの粒子はRPXより細かいです。が、シャドウディテールに関して言えばRPXほど良好ではありません。
また、シャドウ部が粗い(トーン分離が良好でない)ほど、コントラストは強く見えます。
RPXは、はるかに優れたシャドウディテールを示し、高コントラスト(ハイライト部)をより良くコントロールできます。
私がRPXで撮った写真では、早朝の低位置の太陽によって、非常に高いコントラストとなりました。
双方のフィルムとも、露光に(ゾーン3ではなく**)ゾーン5を測定しました。
35ミリフィルムが露光アンダーの場合、この方法がより実用的なアプローチとなります。

**通常、撮影時のシャドウディテールにはゾーン3を測定します。

サンタの実効感度は、ISO 400/27°のRPX400よりもはるかに低いです。それゆえサンタの粒子はより小さく、そして光に対する反応が少なくなります。
これが、RPX400のシャドウディテールが優れているものの、粒度が大きい理由です。
「粗い感じに仕上げたいから強いコントラストが欲しい」「トーンの美しい仕上がりにしたい」「粒子は細かいのがいい」「粒子は大きい方がいい」・・・などなど、
「仕上がりはこんな風に見せたい!」と思い描くイメージを実現するためには、フィルムのキャラクターをまず理解することが常に重要です。

全ての写真は、カメラとレンズによって撮影されているのですから^^