【SPUR Silversalt 現像液-フィルムサイズによる比較】

通常、フィルム現像液用のデータシートには、35mmフィルムの現像データが記載されています。
「120フィルムに同じデータを使用できますか?」という質問をよくお受けしますので、今日はこれについて書こうと思います。

Rollei RPX 400フィルムを2本、35mmと120サイズの異なるサイズでそれぞれ撮影しました。
2本のフィルムは同じカメラで露出され、同じレンズが使用されています。
また、1つのタンクで2本一緒に現像し、SPUR SilversaltにおけるRPX 400の標準データを使用しました。
現像データは以下の通り:
希釈:1+20
温度:20℃
時間:14分
攪拌:30/60/1

結果を見ますと、120フィルムは1 DIN(1/3ストップ)長く露出されるべきということが示されています。
ですから撮影はISO 400/27°ではなく、ISO 320/26°で露出する必要があるということになります。
120フィルムがISO 320/26°で露出された場合、下画像中の赤色グラフは少し左に移動し、135フィルムのグラフとほぼ同じ濃度になります。

もちろん、このテストは他のすべてのフィルムには使用できませんが、120フィルムを1または2 DIN長く露出した場合には、135フィルムの場合と同じ現像データを使用できると想定しても大丈夫です。
そして、いつもお伝えしていることですが、あなた自身でテストされることをお勧めします!

【Silversalt 現像液:攪拌リズムによるコントラスト制御】

攪拌リズムの違いによって、効果にどのような違いが出るかテストを行いました。

以下に例を示します。

フィルムはRollei Retro 400S 135、現像液はSPUR Silversaltです。

3つのテスト全てにおいて露出(ISO 100/21°)、希釈(1+30)、現像時間(14分)、温度(20℃)は同条件、攪拌のみを変更して行いました。

攪拌リズムは以下の3通り:

・30/60/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに1回)☜Silversalt現像での標準的攪拌

・30/60/2 (最初の30秒連続攪拌、その後は1分ごとに2回)

・30/30/1 (最初の30秒連続攪拌、その後は30秒ごとに1回の反転攪拌を時間がくるまで繰り返す)

結果は非常に興味深いものであり、攪拌によってこのフィルムのコントラストがどのようにコントロールできるかを示しています。

図は、攪拌リズムによって色別に示した濃度グラフです。

・赤線(30/60/1):攪拌がSilversalt現像液の標準的な攪拌(30/60/1)で行われた場合、ゾーン6付近からコントラストが弱くなります。

・緑線(30/60/2):攪拌間の時間は同じであるが、反転の回数を変えた場合、濃度はゾーン6付近から強くなります。

・黄線(30/30/1):攪拌間の時間が短い場合(30秒)、シャドウ部から濃度が高くなります。

これにより(30/60/1ではゾーン6からのコントラストが弱いことから)、Silversalt 現像液のデータシートで、特定のフィルムに 30/60/2 の攪拌を推奨しています。

このテストでは、攪拌リズムの違いによってコントラストの制御が行えるということを示しています。

この例で挙げている効果は、必ずしも他のフィルムに転用できるわけではないことに注意してください。お使いになるフィルムでテストを行い、ご自分のスタイルに最適な結果を使用されることをお勧めします。

【SPURフィルム現像液の機能がザクっとわかる表】

SPUR (シュプール)はフィルム現像のための最新の現像液を作り、また最も正確なデータシートを持っている企業です。
彼らはそれはもう、尊敬に値するような万能で特別な現像液を、これまで数多く提供しているのですが、なかなか伝わりにくい…
そこで概要だけがわかるよう各現像液の機能を示す短いリストを作りました。
フィルム現像は複雑なトピックですから、このほかにもいろいろ書きたいことはありますが、あえて詳細は省いてあります。

各SPUR現像液の主な機能

SPUR Acurol N

  • 優れたオールラウンド現像液
  • 非常にシャープ
  • 一部のフィルムにはそれほど高感度にはなりません

SPUR HRX

  • 非常に微粒子
  • 微粒子現像液でありながら非常にシャープ
  • 微粒子現像液でありながら非常に高感度

SPUR SD 2525

  • 高シャープネス
  • 高詳細コントラスト
  • シャープネス現像液でありながら微粒子

SPUR SLD

  • 高感度
  • 高感度現像液でありながらコントラストはそのまま
  • シャープな粒子

SPUR Speed Major

  • ハイコントラストのためのプッシュ現像液
  • プッシュ現像液でありながら良好なシャドウディテール
  • 高感度

SPUR TRX 2000

  • Kodak Tri Xに最適
  • 高感度
  • 美しいトーン

SPUR Dokuspeed SL-N

  • Agfa Copex Rapid専用現像液
  • 高感度
  • ドキュメントフィルムに良好な調性

SPUR Nanotech UR

  • Adox CMS および SPUR Orthopan UR専用現像液
  • ドキュメントフィルムに良好な調性

SPUR HCT

  • 高コントラスト現像液
  • 最高濃度に到達
  • Foma Retropan 320、 Ilford Delta 3200など低コントラストフィルムに便利