新製品:Adox HR-Devってどうなの?

つい先日、アドックスよりリリースされた期待の新製品、Adox HR-Dev について、もう少し詳しくお伝えしようと思います^^

HR-Dev は、高いベース感度およびハイライトの補正効果を持つ、高感度現像液です。
このことはHR-Dev が、高いフィルム感度において非常に良好な諧調が得られることを意味しています。
また、高いシャープネスに加えて(高感度現像液の中では)相対的に細かい粒子を有します。

私たちは、この現像液を Adox HR-50フィルムにだけではなく、他のフィルムにもご使用になることをお勧めします。高いフィルム感度で撮影を行う場合は特にです。Kodak Tri X、T-max、HP5 +で素晴らしい結果が得られます。

HR-Dev は、SPUR SLDに似ていますが、増感にはより適しています。
ただ、SLDでより素晴らしい結果を出すイルフォードデルタ400は例外です。

またSLDとの違いということでは、HR-Devはイソアスコルビン酸を現像主薬に使用されていないことがそのひとつに挙げられます。

HR-Dev が SPUR SLDより増感に適しているとはいっても、SPUR Speed Major ほどではありません。
HR-Dev はSpeed Major に比べ、より優れた階調性を備えているのでコントラストはやや低くなります。
ベース感度はHR-Dev とSpeed Major は同じです。

たとえば、双方の現像液で、通常コントラストで Ilford FP4+は ISO 200/24°に達します。
一方、双方の現像液の違いは、Adox Silvermaxフィルムに見ることができます。Speed Majorでは、 ISO 200/24°でコントラスト N+1、HR-Dev では、フィルムは同感度でノーマルコントラストを保ちます。

あなたが高いフィルム感度で撮影したい場合、HR-Dev は素晴らしい現像液です。
太陽の光が弱くなる今からの時期に、特におすすめします!

HR-Dev / HR-50 製品ページ

HR-Dev の現像データを追加しました

【colum:冷凍庫の発見に思う-Adoxをサポートすることの意味】

Adox CHS 100 と CHS 50 の 4×5 サイズもありました。
このフィルムは Efke が Adox のために作ったものですが、実は、このフィルムの背後には興味深いストーリーがあります。

元々、このフィルムは世界で最初の写真マテリアルメーカー、ドイツの Fotowerke Dr. Schleussner 社によって作られたものです。
このフィルムは Schleussner 社に属していた Adox ブランド (ADOX はAktiengesellschaft Doktor C. Schleussner の略) の元で販売されました。
この時点ではまだフィルム名はCHSではありませんでした。

それが 60年代には販売権が DuPont(デュポン社)へ渡り、そこから70年代にクロアチアの Fotokemika(フォトケミカ社)へ渡りました。Fotokemikaでこのフィルムは Efke(エフケ)のブランド名で販売されていました。

その後、2000年代初頭に新しい Adox が設立され、Fotokemika 製のEfkeフィルム(=CHS)は、ここで巡り巡って元のブランド名 Adox CHSに戻ったのです。

現在、Adoxは、CHSをマーケットに戻すために、懸命に取り組んでいます。
次回からの乳剤、コーティング、スライス工程の全てをAdoxによって完全に行うべく取り組んでいるプロジェクトですが、これには非常に高額なコストと時間がかかります(かかり続けています)。

もし、これを読んでくださっている皆さんがこのプロジェクトをサポートしたいと思われたなら(CHSフィルムの再開を心待ちにしてくださっているあなた!)、Adox の薬品とペーパーを購入し使用していくことが最善のサポートになります。
私たちはもちろんそれを行っており、またこれからもAdoxへのサポートを続けていきます。

私モーグは、Agfa 製品(Adoxの多くのアイテムはAgfaの旧製品をベースにしています)と、Adox 製品を33年間にわたり使用し続けています。
ですから、何かご不明に思うことがありましたら、なんでもお尋ねください!

【Adox Silvermaxフィルム】

アドックス Silvermax 現像液におけるSilvermax フィルムは、私のお気に入りのミドルスピードフィルム (ISO 100/21°)です。
 
このフィルムは、ここ何年間も製造が行われていない元祖 Agfa APX 100に、非常によく似ています。
私はこのフィルムが持つトーンが好きです。
また Silvermax現像液の使用で、晴れた日のハイコントラストをコントロールできることも大変気に入っています。
 
全てのサンプルスキャンはストレートプリントです。ハイランドスプリットグレードの助けを借りて行われました。
 
フィルム:Adox Silvermax (ISO 100/21°)
フィルム現像液:Adox Silvermax
希釈:1+29、現像時間:8 分(20°C)、攪拌 :30/30/1
ペーパー: Adox MCP 24×30 cm
ペーパー現像液:Rollei RPN 、希釈:1+9

【Test:素晴らしい組合せ!ベルゲールパンクロ4x5とアドックスシルバーマックス現像液】

私モーグは、ベルゲールパンクロ4x5を、アドックスシルバーマックス現像液で現像を行いました。
私はこのコンビネーションが非常に好きです。

濃度グラフをご覧ください。
この現像液使用で公称感度ISO400/27以上に達しているのがわかります。
また、Zone 1における濃度(ログ密度)は0.18、非常に良好なシャドウディテールを提供しており、Zone 8あたりからの濃度グラフは少し平坦になり(コントラストが低くなる)、イコライジング効果を提供していることが分かります。

Zone 0~3のコントラストは少々強くなり、良好なシャドウコントラストを提供しています。
Zone 3~8間でグラフはDINグラフよりも少々平坦になります。
濃度はDINグラフよりも高くなるため、プリントの際は露光時間は少し長めにとります。
私のテイストにとって、これは完璧な濃度グラフです。

石橋の画像では、風景のコントラストは非常に強かったと言えます。しかし、太陽に照らされている橋の明るい側と、橋下バックグラウンドの暗い木々には、まだ十分なディテールがあります。

私が行った現像時間は11分でした(20℃)。希釈は1+29、JOBO CPE-3プロセッサで回転現像を行いました。

私は、まだ現像時間のテストを行っていませんが、 135と120フィルムの結果もまた優れていると期待しています。

ネガのプリントは簡単に行えます。
私はディフューザー引伸機を使用するため、(DINグラフ同様のデルタとガンマ(勾配)を持つ濃度グラフと比較して)0.5~1グレード高いコントラスト使用するべきと推測しています。

このフィルムと現像液の組み合わせは非常にお勧めできるものです!
(画像は直接スキャンしたものであり、プリントではありません。)

あなたがお使いのフィルムに、より一般的なグラフ(DINに近い曲線)をお好みでしたら、ローライスーパーグレイン現像液がよいでしょう。
スーパーグレインの場合は、ベルゲールパンクロ4x5をISO200/24で撮影、希釈は1+19、現像時間8分45秒、20℃で回転現像を行いました。