Adox CHS 100 II 4×5 と SPUR Silversalt 現像液

やっと Adox CHS 100 II 4×5SPUR Silversalt 現像液をテストする時間ができました。
通常、私はシートフィルムを35mmフィルムの半分の感度で評価します。そこでISO 50/18°でテストを始めました。ISO40/17°でもテストしましたが、シャドウディテールは改善されませんでした。

最近の現像液のほとんどは、回転現像を行うのにまったく問題がないです。非常に安定した均一な結果が得られるので、フィルムを現像するのに良い方法です。

しかし、Adotech、Nanotech、Dokuspeed といった特殊な現像液の場合、回転現像はお勧めしません。

私は、4×5フィルム用には JOBO 2520タンクリール2509n を使用し、 JOBO SilverBase プロセッサーで回転現像を行っています。

JOBO SilverBase以外で他の回転現像プロセッサーとしては、ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3010(4×5のみ)、あるいは ハイランドTAS に JOBOエキスパートタンク用アダプターとJOBO エキスパートタンク3006(4×5と5×7)になるでしょう。

通常コントラスト現像(N現像)には、以下のデータを使用:
露出:ISO 50/18°
希釈:1+30
温度:20℃
時間:11分
回転数:70RPM

得られた濃度グラフは以下の通りです。

ゾーン7から始まる低いハイライトコントラストは、このフィルムでは普通です。ビルトインされた補正効果のようなものです。シャドーも同じく、少し弱い。

テストは富士フイルムの最新レンズで行われました。

【Sample : Adox CHS 100II x SPUR Silversalt現像液】

画像は、SPUR シルバーソルト現像液における Adox CHS 100II のサンプルです。

強いショルダーを持つフィルムゆえ、ハイライトの取扱いが簡単です。

このフィルム(35mmサイズ)を露出する際、ハイライト濃度が高くなりすぎないため、シャドウだけに集中できます。私はこのフィルムの滑らかな色調と小さな粒子が好きです。

SPUR Silversalt 現像液では優れたアキュータンスを示します。
とても魅力的な組み合わせです✨

最高のシャドウディテールを得るために、ISO80 / 20°での露出をお勧めします。
しかしもちろん、ISO100 / 21°でも良い結果が得られます。

下の写真のいくつかに高コントラストを見ることができます。
私はこの高コントラストについて、現像行程中のN-現像を気にする必要はありませんでした。フィルムのフラットショルダーが、ハイライトが明るくなりすぎるのを防いでくれるからです。
下の濃度グラフを確認してください。 グラフ中のフラットショルダーが、ネガを簡単にプリントできることを示しています。
フラットショルダーはフィルムの特徴であり、SPUR シルバーソルト現像液の特徴ではないことに注意してください。

【Update : Adox CHS 100 II フィルムデータ】

2020年以降のCHSフィルムは、以前のデータではなく新しいデータをお使いください!

品質が良く美しいことで当ショップでも人気のAdox CHS 100IIフィルム
ここ1年以上提供されていませんでしたが、2020年に提供が再開されました。
以前とは違い、現在、Adoxでは独自のマシンでフィルムコーティングを行っています。
コーティング機が変われば、以前と同じ乳剤の維持は不可能であることが多いですので、再リリースされたCHSの乳剤も変更されています。

ですから、私たちの現像データベースでは、2020年以前のCHSと現在のバージョンのデータは、分けて掲載しています。

もちろん、SPUR Silversalt現像液はすでにテスト済みです。ロジナールHRXSLDデータが上がっています

Adox SilvermaxHR-DevFX-39Atomal 49による新しいデータは、以下をご覧ください。
温度は全て20℃です。

Adox CHS 100 II x Adox Silvermax
ISO 100/21°
希釈:1 + 19
時間:10分
攪拌:60/30/1

ISO 64/19°(フルシャドゥディテール)
希釈:1 + 24
時間:12分
攪拌:60/30/1

Adox CHS 100 II x Adox HR-Dev
ISO 100/21°
希釈:1 + 20
時間:14分
攪拌:30/60/2

Adox CHS 100 II x Adox FX-39
ISO 100/21°
希釈:1 + 9
時間:15分
攪拌:30/60/2(ゆっくり攪拌)

Adox CHS 100 II x Adox Atomal 49
ISO 100/21°
希釈:1 + 1
時間:20分
攪拌:60/30/2
コントラストが低く、フォグが多いため、お勧めしません。

【Update:SPUR Silversalt現像液xAdox CHS 100 II 】

SPUR Silversalt現像液でのAdox CHS 100 IIのテスト結果です。
☟以下は、このようなグラフに慣れていない方に向け簡単に説明いたします☟
このグラフは、ネガの各グレートーンの「銀濃度」が、どのくらい高いかを示しています。
横軸は、ゾーンを表します。左側はシャドウ、右側はハイライトです。ゾーン5はミディアムグレーを表します。
縦軸は濃度を表します。低い値は、ネガ上でクリアな領域を表します。
青線グラフは標準線です。これは、値を比較するために使用されます。

Adoxは、CHSフィルムの見栄えは1960年代からのままであると主張しています。
グラフの緩やかなS字曲線を見るに、この主張は正しいと言えます。
シャドウは少し弱く(青の標準グラフより濃度が低い)、ミドルトーンのコントラストはわずかに強くなっており(標準グラフよりもグラフの傾きが急)、ハイライトは非常に柔らかくクリーミーです(標準グラフよりも傾きが小さい)。

通常コントラスト(N)の場合、紫グラフのデータをお勧めします。
希釈:1 + 30
温度:24°C
現像時間:14分
攪拌:30/60/1

緑グラフは、より強いコントラスト(N + 1)を表します。
希釈:1 + 20
温度:24°C
現像時間:12分
攪拌:30/60/1

紫グラフのミドルトーンの濃度が高すぎると感じる場合は、黄グラフのデータを使用してください。

非常に明るくソフトなコントラストのネガには、赤グラフのデータを使用できます。
ただし、「通常の」外観のネガが必要な場合、このデータはお勧めしません。

フィルムのシャドウはやや弱いですから、より良いシャドウディテールを求める場合、ISO 80/20°での撮影をお勧めします。

【colum:冷凍庫の発見に思う-Adoxをサポートすることの意味】

Adox CHS 100 と CHS 50 の 4×5 サイズもありました。
このフィルムは Efke が Adox のために作ったものですが、実は、このフィルムの背後には興味深いストーリーがあります。

元々、このフィルムは世界で最初の写真マテリアルメーカー、ドイツの Fotowerke Dr. Schleussner 社によって作られたものです。
このフィルムは Schleussner 社に属していた Adox ブランド (ADOX はAktiengesellschaft Doktor C. Schleussner の略) の元で販売されました。
この時点ではまだフィルム名はCHSではありませんでした。

それが 60年代には販売権が DuPont(デュポン社)へ渡り、そこから70年代にクロアチアの Fotokemika(フォトケミカ社)へ渡りました。Fotokemikaでこのフィルムは Efke(エフケ)のブランド名で販売されていました。

その後、2000年代初頭に新しい Adox が設立され、Fotokemika 製のEfkeフィルム(=CHS)は、ここで巡り巡って元のブランド名 Adox CHSに戻ったのです。

現在、Adoxは、CHSをマーケットに戻すために、懸命に取り組んでいます。
次回からの乳剤、コーティング、スライス工程の全てをAdoxによって完全に行うべく取り組んでいるプロジェクトですが、これには非常に高額なコストと時間がかかります(かかり続けています)。

もし、これを読んでくださっている皆さんがこのプロジェクトをサポートしたいと思われたなら(CHSフィルムの再開を心待ちにしてくださっているあなた!)、Adox の薬品とペーパーを購入し使用していくことが最善のサポートになります。
私たちはもちろんそれを行っており、またこれからもAdoxへのサポートを続けていきます。

私モーグは、Agfa 製品(Adoxの多くのアイテムはAgfaの旧製品をベースにしています)と、Adox 製品を33年間にわたり使用し続けています。
ですから、何かご不明に思うことがありましたら、なんでもお尋ねください!