Rollei RPX 100とSPUR Acurol Nの組合せ

昨夏、私のお気入りのフィルムと現像液の組合せは、SPUR Acurol N現像液とRollei RPX 100フィルムでした。

フィルムは、ISO 100/21 °(120)または ISO 125/22 °(135)で露光。
晴れた日に三脚なしで撮影するには、中判でもこの感度で十分なことが多いです。
このフィルムは粒子が比較的細かく、Acurol Nで非常にシャープに写ります。私の好み的には階調が大変美しいです。

SPUR Acurol N は、技術的に最も進んだ3つの現像液のうちの1つです。他の2つは SPUR HRXJOBO Alpha です。
SPUR Silversalt は、Acurol N とHRX の中間。HRXほど粒子が細かくなく、Acurol Nほどシャープではないが、その中間の良い妥協点となります。
またSilversalt は、すべてのフィルムで実効感度に到達しますが、Acurol N や HRX で現像した場合、より多くの光を必要とするフィルムが中にはあります。

【現像データ:Rollei RPX 100 x Adox Atomal 49】

Rollei RPX 100Adox Atomal 49現像液でテストしました。

攪拌 : 常に60/30/3

温度 : 常に20℃

希釈 : 常に1+1

RPX 100 135 を ISO 160/23で露出: 時間:10分  コントラスト: N

RPX 100 135 を ISO 250/25で露出: 時間:12分  コントラスト: N+1

RPX 100 135 を ISO 320/26で露出: 時間:14分  コントラスト: N+2

RPX 100 120 を ISO 125/22で露出: 時間:10分  コントラスト: N

【SPUR TRX 2000現像液におけるRollei RPX 400】

Rollei RPX 400は、露出アンダー、現像オーバーであっても、比較的ソフトなコントラストを保つことができるフィルムです。
このRPX 400 135をISO 800/30°で露出し、SPUR TRX 2000現像液で(SPUR推奨データで)現像しました。
以下に挙げたほとんどの写真が早朝に撮影されたものです。コントラストが強くなりすぎず、それでいてグラデーションはOKと言えるので(許容範囲内なため)気に入っています。

粒子はスキャンではかなり粗く見えます。特に3枚目の写真の空で確認できます。スキャナーの特性として、粒状感が強調される傾向があります。スキャナーでは(その特性として)粒子が強調されがちですが、紙のプリントでは、あまり目立ちません。

手持ちで撮影し、時には露出時間を長くしたため、すべての写真が完璧なシャープというわけではありません。露出はゾーンシステムにより、ゾーン5で行われました。

【現像データ 】
フィルム :Rollei RPX400 135
現像液: SPUR TRX 2000
希釈: 1+17
温度:20°C
現像時間:14分
攪拌: 30/60/2 (JOBO 1510Heiland TAS使用)

【Update:Rollei Superpan 200 120 x SPUR Silversalt現像液 】

Rollei Superpan 200 120フィルムをISO 100/21°で露出しました。
Silversalt現像液でのデータは以下の通りです。
希釈:1+25
温度:20℃
現像時間:12分
攪拌:30/60/2

下のグラフをご覧ください。Superpan 200は、濃度グラフのミドルトーンに、非常に急こう配な箇所があるのがわかります。
これは、Superpan 200が中間トーンにおいて強いコントラストを示すことを意味します。

写真からわかるように、私が撮影したのは雨の直後で、晴れてはいませんでした。
住宅や建物はほとんどがミドル~明るいトーンで、通常でいえば、ちょっとたいくつな低コントラストの風景です。
ですが、ミドルトーンにおいて強コントラストのこのフィルム乳剤は、風景の低コントラストを均一化してバランスをとってくれています。
これが真っすぐな濃度グラフを描くフィルムですと、このような結果をネガにもたらすことはないでしょう。
もちろん、そのような通常のフィルム(ミドルトーンでノーマルコントラスト)を、より高コントラストでプリントすることでも同じような結果は得られますが、Superpan 200のネガには、既に私が欲しい見栄えとコントラストが得られています。この場合、グレード2~2.5間のコントラストグレードでプリントでき、完璧です。

とはいえ、写真には ”何かを得たら、何かを与える(失う)必要がある” という基本ルールがあります。
このルールを当てはめると、私はミドルトーンに強コントラストを得ましたが、シャドウは弱くなり、ハイライトは低コントラストとなりました。

弱いシャドウについては、(公称感度の)ISO 200/24°ではなく ISO 100/21°で露出することによって、若干回避できました。
これもルール通りです―シャドウディテールは得られましたが、フィルム感度は低くなりました。

【Sample Photos: RPX 400 120 x SPUR Silversalt現像液】

以下は、SPUR Silversalt現像液による、Rollei RPX 400 120のサンプルフォトです。
RPX 400 120は、ISO 320/26°で露出されました。現像データは以下の通りです:
希釈: 1+20
温度: 22°C
現像時間:14分
攪拌: 30/60/1

最初と2番目の写真は、コントラストが非常に強いです。
早朝の太陽の直射日光が、非常に強いハイライトを作っています。
RPX 400は、コントラストが低めのフィルムですので、低コントラスト現像(プル現像)はしませんでした。
フィルム乳剤が私に有利に働いてくれました。

3番目の写真は日射しのない中で撮影されました。
SPUR Silversalt現像液が生み出すディテールコントラスト(細部におけるコントラスト)をここで見ることができます。
シャッターの錆がくっきり、コントラストも良好です。
店の看板、カーテンや壁の汚れも同様です。
本来、RPX 400は極小粒子乳剤ではありませんが、全ての画像に比較的細粒子が認められます。

【SPUR Silversalt 現像液-フィルムサイズによる比較】

通常、フィルム現像液用のデータシートには、35mmフィルムの現像データが記載されています。
「120フィルムに同じデータを使用できますか?」という質問をよくお受けしますので、今日はこれについて書こうと思います。

Rollei RPX 400フィルムを2本、35mmと120サイズの異なるサイズでそれぞれ撮影しました。
2本のフィルムは同じカメラで露出され、同じレンズが使用されています。
また、1つのタンクで2本一緒に現像し、SPUR SilversaltにおけるRPX 400の標準データを使用しました。
現像データは以下の通り:
希釈:1+20
温度:20℃
時間:14分
攪拌:30/60/1

結果を見ますと、120フィルムは1 DIN(1/3ストップ)長く露出されるべきということが示されています。
ですから撮影はISO 400/27°ではなく、ISO 320/26°で露出する必要があるということになります。
120フィルムがISO 320/26°で露出された場合、下画像中の赤色グラフは少し左に移動し、135フィルムのグラフとほぼ同じ濃度になります。

もちろん、このテストは他のすべてのフィルムには使用できませんが、120フィルムを1または2 DIN長く露出した場合には、135フィルムの場合と同じ現像データを使用できると想定しても大丈夫です。
そして、いつもお伝えしていることですが、あなた自身でテストされることをお勧めします!

【Tips:3ストップ露出オーバーのフィルム現像について】

最近、RPX400 120を3ストップ露出オーバーで撮影されたフィルムの現像サービスをお引き受けしました。
ISO 400/27°の代わりに、誤ってISO 50/18°で撮影してしまい、そのフィルムが私たちの元に届きました。

私モーグは、次の現像方法をテストしたところ、驚くほど良い結果が得られました。
ですので、皆さんとシェアしたいと思います。

希釈:(Adoxロディナル使用)1 + 99
温度:16℃
時間:40分
攪拌:30/300/2

テスト現像を行うにあたり、最初に考慮するべき事は「高希釈された現像液および低い攪拌は、非常に高い補正効果をもたらす」ということです。
これは、非常に露出オーバーのハイライト部を制御するのに重要です。
また、低い温度は現像プロセスを遅くするのに役立ちます。

ここで留意しなければならない点が1つあります。
「ロジナールには、120または135フィルムあたり最低5mlの現像液濃縮液が必要である」ということです。

135mmフィルム1本を250ml容量の小さなJOBOタンクで現像する場合、2.5mlの現像濃縮液が使用されることになりますが、これでは足りません。
ですから、500ml容量の大きなタンクを使用し、その中で135フィルムを1本だけ現像することをお勧めします。
そして、5分ごとに攪拌することをお勧めします。十分に攪拌しないとフィルムに筋が入るリスクがありますので。

以下は、この現像方法をテストするために撮影した、ネガのダイレクトスキャンです(このスキャンからほこりを取り除いていませんのであしからず)。
シャドウディテールはもちろん優れています。大変露出オーバーなのであとは何も期待してはいけませんね^^

【Column:Rollei スーパーグレインについての考察】

今日は、みんなの人気者 ローライのオールラウンド現像液「スーパーグレイン」を少し詳しく見てみたいと思います。

はじめに「スーパーグレイン」のヒストリーを少しお伝えしましょう。
この現像液は、ヨーロッパで非常に人気のある 「Amoloco AM74」の処方に基づいています。
特に、面倒くさがりの写真家はみな、この現像液が大好きです―—同感度であれば異なるフィルムでも一緒に現像でき、しかも結果が全く許容範囲内となるのですから。

通常、現像時間はフィルムによって異なります。現像時間が長すぎるとハイライトの濃度が濃くなり、プリントが困難になります。「AM74」は、ハイライトが高濃度になりすぎないようにする補正現像液だったため、これを避けることができ、それゆえプリント作業をより容易なものにしました。
こんなことから「AM74」は学校の写真部でも人気がありました。
私モーグが学校の写真部にいたときも、この現像液をロジナールと共に使ったことを覚えています。
他の特徴として、微粒子および比較的高いシャープネスがあります。ほとんどのフィルムは「AM74」で公称感度に達しました。

「AM74」の子孫である「ローライ スーパーグレイン」にも、上に述べた機能があります。

「スーパーグレイン」は、きめの細かい、それでいてシャープな結果を実現できます。
微粒子なのは、現像剤に物理的現像を可能にする多くの錯体形成物質が含有されているからです。また現像液のpH値は、拡散速度と現像速度のつり合いが取れるよう設定されています。
したがって、現像過程の中で物理的現像と化学的現像は、バランスを取りながら同時に起こっています。シャープネスは化学的現像が担当しています。

では、物理的および化学的現像とは何でしょうか?
フィルムが物理的に現像されると、銀ハライドは乳剤から移動して現像液中の物質と錯体を形成し、それらの錯体は乳剤中の現像コア(露光を受けた銀ハライド)に移動します。
この現像スタイルは、化学的現像よりも細かい粒を生み出します。物理的現像された銀は、コンパクトで球形です。
一方、化学的現像は、乳剤中の現像液による、露光された銀ハライドの減少を意味します。 化学的現像された銀はより粗くそして糸状です。

少量のヒドロキノンおよび一硫酸塩を使用することで、現像剤は長い貯蔵寿命を有し、また高希釈で美しいトーンを生成します。

あなたが望めば、同感度の、異なるフィルムを一緒に現像することができます。
そしてそれらの結果が満足のいくものになることを望むでしょう。
私は、このようなフィルム現像方法を好んでは行いません。各々のフィルムに対してそれぞれの現像手順で最高の結果が得られるように試みます。
もちろん通常通り、「ローライ スーパーグレイン」は各フィルムの個別現像に使用できますし、優れた結果をもたらします。

今回の記事では、希釈率と現像時間の違いが結果にどのように影響するのかを、テストを交えて見ていこうと思います。

テストには、「ローライ RPX 100」と「ローライ スーパーパン 200」の2種類のフィルムを使用しました。
「RPX 100」は、直線の濃度グラフを描き、標準的なフィルムを表します。露出しやすく、また現像し易いです。
「Superpan 200」は、S字型の濃度グラフを描きます。この種のフィルムは、シャドウ部で弱く、中間トーンで強いコントラスト、そしてハイライト部で低いコントラストを持ちます。

「スーパーグレイン」現像液のラベルには、1+9、1+12、1+15 の希釈が示唆されています。
もちろん、これらの間の全ての希釈で行うことができますし、1+9より低希釈、1+15より高希釈で使用することもできます。
私モーグは1+20を好んで使います。

「ローライ RPX 100」では、希釈1+20で現像を行いました。
結果の予測は可能なのかをみるため(規則性を見出すため)に、以下の条件で、現像時間を変えてテストを行いました。
露光:ISO 100/21°
希釈:1+20
現像温度:20℃
攪拌:30/30/1
現像時間:7分/7.5分/8.5分

下のグラフを見ると、この現像液へフィルムがどのように反応するか予測が立てられることがわかります。

現像時間は常にゾーン8で決定されます。
現像時間が長くなるとコントラストがどのように強くなるかがわかります。

現像時間7分では、N-1.5 現像(低コントラスト)となっています。
緑グラフ(7分)のゾーン9.5で、青色のDIN/ISOグラフのゾーン8と同じ濃度に達しています。
現像時間7.5分では、N-0.75 現像(低コントラスト)となっています。

現像時間8.5分では、N+1 現像(高コントラスト)となっていますね。
赤グラフ(8.5分)のゾーン7で既に、青色DIN/ISOグラフのゾーン8と同じ濃度に達しています。

ここで、現像時間8分のグラフとして投影線(水色の点線)を引いて予測を立てることができます。ゾーン8で水色グラフ(8分)と、青色DIN/ISOグラフは同じ濃度になっています。
現像時間8分くらいのところで、N 現像(通常コントラスト)になることが読み取れますね。

*注*このテストでは、コントラスト調整の現像で通常行われるような露光感度の補正は行っていません。

次に、「ローライ スーパーパン 200」では希釈率を変えてテスト結果を比較しました。
このフィルムの実効感度は、ほとんどの現像液において最高でISO 100/21°です。
そして非常に頻繁に、この感度はより低くなります。
ですが私はこの知識を無視して、ISO 200/24°の公称感度で露出しました。

露光:ISO 200/24°
希釈:1+12、1+16、1+20、1+28
現像時間:8分
温度:20℃
攪拌:30/30/1

グラフのS 字型は、このフィルムの特徴です。これもゾーン8で、希釈率を変更した場合の結果の予測可能性を見ることができます。
もちろん、現像時間が同じであれば、低希釈液は高希釈時に比べて、はるかに高い濃度をもたらします。

低希釈時は高コントラストとなり、高希釈の場合は低コントラスを示すことがグラフから読み取れます。
ゾーン8を見ると、希釈の違いによるコントラストの違いがほぼ等間隔で現れています。
このことから、希釈の違いによっても結果の予測は立てられることがわかります。

1+28の結果は興味深いものです―—グラフはS字型を描いていません。
Sを描くには、もちろんコントラストが低すぎます。
現像剤の量がフィルムを完全に現像するのに十分ではなかった可能性もあるなと、私はそんな疑いをもっていました。でも、36露光フィルムを完全に現像するためには希釈1+20で240mlの作業溶液があれば十分であることを知っていました。ですから、テストストリップの長さが16露光分だけであるので、1+28の希釈でも、現像剤の量は十分に足りていたと考えられます。

では、これら長時間にわたったテストの総括を含め、この現像液について以下にまとめてみます。

「ローライスーパーグレイン」現像液は:
・非常に良好なオールラウンド現像液である
・結果の予測が容易である
・多くのフィルムで公称感度に達する
・粒子が細かい
・有害物質の含有量が非常に少ないため、他の多くの現像液に比べてより”エコ”である
・ハイライトの補正効果は、広い輝度範囲のフィルムを現像する必要がある場合に最適
・135mmと120サイズフィルムの場合は特に、1本のフィルム内にコントラストが大きく異なるであろう多くの異なる写真が存在するため、このような補正現像液は非常に便利
・シートフィルムにも使用可能。回転現像は上手く動作する

尚、私はトーンがきれいに見えることから、希釈は1+20をおススメします。
ですが、トーンについて定量化するのは難しく、もちろん非常に主観的なものです。

これを読んでくださっている皆さんが、皆さん自身によってテストを行ない、ご自身で決定されるのであれば、それが一番です!

Tim Moog(Silversalt)

【シャドウ&ハイライトディテールをKeep!:SPUR SLD x Rollei RPX 400】

SPUR SLD は、高感度現像液です。
シャドウディテールを失うことなく、フィルムにおける最高のスピード/最高感度を得ることができます。
コントラストは高くなりませんから、この点においてプッシュ現像液ではありません。
 
しかし、もちろん、 プッシュ現像液としてSPUR SLD を使用することもできます。
” プッシュ” とは、コントラストを高めることを意味します。
シャドーディテールは低くなります。また、ハイライトの高濃度を補正するために、フィルムをより高いISOで露出する必要があります。
 
以下の例は、 Rollei RPX 400を ISO 800/27°で露出したものです。
シーンの中にはコントラストが非常に高いものもありますが、このフィルムと現像液の組合せは、シャドウディテールとハイライトディテールを保持する点において非常に優れています。